第45話 リングワンデルング
さて、知り合いと会話していた時のこと。山での話で、怖い話という話題になった。
で、その知り合いが語ったのが、リングワンデリング。
まあ、本人の体験談ではなくて本の話ではあったんだけれど、その話は当人にとっては大変怖かったというものらしい。
死体があったとかも絡んではいたものの一番怖いものが、リングワンデルング。同じ場所を回ってしまうという話。
確かに、道に迷ったせいで死体のあった場所を二度通りかかってしまったのは、恐いかと言われれば、確かに恐い。
だけれども、別の怖いものを要するに怪奇現象を想像していたので、私の頭は???
だって、道に迷ったという話でしょう。
その時は、何故この人がこの話を怖い話として認識できているのかが分からなかった。
私がその人の怖さを理解できないのは、相手にも伝わっていて、そちらも理解してもらえないのが分からなかった模様。
説明はしてもらったみたいだけど、全く分からなかった。
あの話をしてから、随分たちました。
ある日突然、一つだけ分かった。私は方向音痴なので「道に迷う」のは標準装備なのですよ。
方やお相手さんは山登りが趣味ですから、方向感覚などバッチリの人なのです。だからこそ、山で道に迷うという話は、怖かったのでしょう。
当たり前の基準が違えば、同じ現象でも捉え方が違う。
そういう事だったのだと。
そして、説明がつかない現象を怖い話とするならば、方向感覚が装備されている人間が道に迷うっていう事は、その人にとっては十分不思議な事なのだと。
理解し合うっていうのは、大変難しいと思いました。
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