第42話 通りがかりのおジイさん


 今日の夕方、買い物からの帰り道。小学校に上る前ぐらいの男の子2人とお祖父さんらしき三人連れとすれ違った。


「夜になると、口裂け女が出てくるんだ」


 お祖父さんはそう言って、自分の口の端に手をやって口が大きく裂けているのを表現していた。


 お祖父さんは真っ白い髪だったけど、60から70代辺りかと。

 子供がびっくりしたような顔で三輪車に乗ったまま固まっている感じで、そのお祖父さんの所作を見ている。


 目にしたのはそれだけなんですけどね。口裂け女、久々に聞いた。活字ではそこそこお目にかかってましたが。


 ああ、こうやって人から人へと伝わっていくんだろうなと思いました。


子供達、これをどう感じたんだろうと少し気になりました。


将来立派な伝道者になって、自分の子供達に話したりするんだろうか、と。


そうだといいな。

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