いざ入籍!

 病気が見つかった事で先延ばしにした入籍だったが、いろいろと考えた結果、手術前にすることにした。

 もう彼氏と一緒に生活を始めて一月は経っていたし、結婚式代わりの食事会も開いたのだ。既に私たちは99%夫婦だし、手術するとなれば一番関わりがあるのは彼で、病院でも家族として話を聞いてもらう必要があった。

 となれば、やはり入籍しておく必要がある。ということで吉日を選んで1月26日に市役所へ行った。


 元々12月には籍を入れる予定で、婚姻届けや戸籍謄本の準備は済んでいた。なので入籍に関しては書類を持って行くだけだ。

 ただし入籍すると、名前も苗字も家族関係も変わるので、各種証書の変更をいっぺんにする必要がある。これが書類に次ぐ書類だった。


 まずは入籍したらすぐ、マイナンバーカードの更新だ。

 このマイナンバーのお陰で、逆に書かずに済んだ書類もあったらしい。なにしろ身分証明が番号一個で、それ自体は変更がないのだ。そこに登録している名前や住所、本籍などを変更すれば、他の証書はそのカードを出せば更新できる。


 更新が完了するまで1時間くらいはかかったものの、その後の手続きはスムーズだった。入院に必要な医療費の上限認定証も貰い、すぐに警察へ行って運転免許証も更新した。

 スマートフォンの契約更新は、少し役所から離れていたので後回しになったのだが、これも難なく行えた。


 ゴタゴタしたのは銀行の手続きだ。

 貯金をしていたのが地元の銀行だったので、まずはお金をおろして別の銀行に移す必要があった。これを入籍した後にしてしまったため、お金をおろすにはまず名義変更が必要になった。


 私は小さい頃から、お年玉をもらう度に「貯金して!」と頼む子供だった。

 母はこれを真っ向から受けて、全て定期預金にしていた。普通預金ではないのだ。

 額は千円単位のものばかりなのだが、かなりの数になっていて、その全ての名義変更のために書類を書かねばならなかった。

 一円だってお金はお金だ、粗略には扱えない。


 指が攣るかと思った。お金の移動だけでも先にしておけばよかったと心底思った。

 ただこれは、子供の言う事を真面目に聞いてくれる母の人柄の良さに由来するものでもあった。その意味では、母の愛情を感じられて嬉しい事でもあった。


 しかし、これを入金する時に更に問題が起きた。元々あった別の銀行に振り込んでもらおうとしたら、今度はそっちの名義変更がまだだったので、振り込めないと言われたのだ。

 焦った銀行員さんから電話が来た。銀行はお金の移動ができる時間に制約があるらしく、だいぶ急いでくれと言われた。

 慌ててそっちの銀行に駆け込んで、こちらも名義変更をしてもらった。おかげで何とか入金の時間には間に合ったらしい。


 みんな、結婚する時は入籍前にお金の移動をしておこう。

 しらすとの約束だぞ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る