退院しない?

火曜日だったと思う、最初に担当になった看護師の人が来て「もうだいぶ動けるようになったから退院できるよ。」と突然言い出した。

「退院って、あの、まだ家の方の準備が出来ていないんですが」と私が言うと、

「もちろん、帰る家の準備が出来るまでは居て構わないわ。すぐにとは言わないから、考えておいてね」と言って病室を出て行った。


退院か~~。そりゃー娘のためにも早い方がいいだろうけど。家の方どうなってるのかな?私は娘に早速メールを出した。


リハビリの時に佐々野さんに相談したら、「焦らずにもう少しいてもいいんじゃない」と言われたが、「娘の負担を減らしたいので、出来たら早く退院したいです」と私は答えた。「そうか、それなら外に出てみないとね、帽子ある?」と佐々野さん。

「はい、持ってきてもらっています」と私は答えた。「天気次第だけど明日から天気よかったら外に出ましょうね、そして」と佐々野さんは言いリハビリ室から廊下に出た。大きな扉の鍵を開け中に入るとそこは医療スタッフしか使えない階段になっていた。「登れるだけ登って。手すりから手を離さないようにね」と言われ、私は階段を上り始めた。一階半ぐらい登っただろうか、医療スタッフがいぶかしげにすれ違う。

「はい、今度は降りましょう。降りる方が大変だと思うから、右足伸びなかったら左足から一段、一段降りて、ゆっくりでいいから」と言われ、つえを持ち替え右手で手すりを持ちながらゆっくりと降りて行った。

降り切ると、佐々野さんはまたドアを開け廊下へ、「今日はこれで終わるね、明日天気よかったら外に行くから、病室に帰りましょう」と言い、病室まで連れて行ってくれた。


病室に戻ってお茶を飲んでいると、看護師がやってきて、「今日から自分でシャワーを浴びてもらいます。使い方を説明しますから」と病室でのシャワーの浴び方の説明を受けた。ドライヤーも貸し出してもらえるという。替えのパジャマを置いて看護師がは出て行った。

さっそく試してみたが、湯船に入らなくてもかなり快適。シャンプーをして体を洗って。体を拭いて着替え。一通り自分で出来た。髪を乾かしながら、これなら自宅でも一人でお風呂に入れると思った。

ドライヤーと着替えたパジャマをセンターに持って行き、手すりに濡れたタオルをかけて終わり。さっぱりした。


夕方、娘からメールが来て『用意は大体住んでるから、日曜日に退院できないか聞いてみて、仕事休めそうにないから』と書いてきた。センターに聞きに行くと、日曜日でも退院できるという。メールを娘に送ったら、『じゃ、次の日曜日に退院しよう。土曜日に荷物をある程度持って帰るから』と返事が来た。

センターに言いに行くと、「解りました、許可を取りますね、明日また連絡します」と看護師が言う。


翌日許可が出て、次の日曜日退院となった。






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