第3話

 王様は言った。

「では勇者様方にさっそく見せてもらいたいものがある」

 一体何を見せればいいのだろうか?

 剣の腕でも見せればいいのだろうか。

 魔法の腕でも見せればいいのだろうか。

 だがオレたちは剣の修行をしたこともなければ、魔法なんてものを使ったこともない、ただの平和な国でうまれた日本人である。

 そんなオレたちにできることといえば、まるでライトノベルの主人公のように、漫画の主人公のように、アニメの主人公のように、なぜか特別な才能を持っていて、活躍することである。

「勇者である君たちは、この異世界のものたちよりも、何倍もの才能がある」

 え?

 マジで?

 そんなものは漫画や、アニメの中だけでの話だと思うのだが。

 だが王様は真面目な顔をして、続けた。

「君たちは例えばそこにいる兵士よりも、」

 兵士を見る。

 兵士は王様に目を向けられて、なんだか驚いた顔をしているようだ。

「そこにいる魔法使いよりも、すでに強い」

「!」

「!」

「!」

「!」

「!」

「!」

 勇者であるオレたちは、その王様の言葉を聞いて、驚いていた。

 目の前にいる兵士や、目の前にいる魔法使いは、オレたちよりもずっと強い存在に見える。

 鎧やローブがそのように見せるのかもしれないが、異世界から来たばかりのオレたちより、ずっともっと戦闘になれているように思えるのだが。

 だが王様の言葉を信じると、異世界から召喚されたものたちは、魔王に匹敵するほどの才能の、素質の持ち主だという。

 オレたちはみな顔を見合わせて、いや一人おっさんだけが仲間外れにされているが、幼女や高校生たちは自分がよりすごい存在であることを知り、すごい素質があることを知り、なんだか嬉しそうである。

「では勇者たちよ、君たちの素晴らしいステータスを見せてほしい。異世界から召喚されたものたちなのだから、ものすごいスキルやものすごい加護を持っているだろう」

 という王様。

 なんだか漫画みたいな話になっているのだが、大丈夫だろうか。

 まあ異世界からわざわざ召喚されたわけだから、この前髪が薄くなってきたオレでも、すごい才能を持っているはず……。

 この幼女にしか見えない女の子も持っているはず……。

 さて、ステータスを見る方法を教えられたオレたちは、さっそくステータスとやらを見ることになった。

 これが勇者のステータスである。


サトウ 40 男

LV:1

STR:30

VIT:30

INT:30

DEX:30

AGI:30

LUK:200

<スキル>

なし

<固有スキル>

まぶしい光

<加護>

太陽神の加護


何だよ。

固有スキル、まぶしい光って。

オレの頭がはげてるって言いたいのか?

いいや、オレはまだはげていないはずだ。

まだこんなにも、いや、少なくはなってきているが、前髪は残っているんだ……。

高校生同士というのは年が近いからか、男子女子関わらず仲良くしていた。

彼ら、彼女たちは自分たちのステータス画面を見せあって、なんだか喜んでいる。


リュウノスケ 16 男

LV:1

STR:100

VIT:100

INT:100

DEX:100

AGI:100

LUK:100

<スキル>

火属性耐性LV2

風属性耐性LV2

火属性攻撃LV2

風属性攻撃LV2

<加護>

創造神の加護


 不良の少年がリュウノスケである。

 その筋肉質な身体は、おっさんになってしまったこのオレにとって、とてもうらやましいものとなった。

 だっておっさんになると、段々と自分の身体が衰えていくのをわかるからである。


アヤノ 16 女

LV:1

STR:100

VIT:100

INT:100

DEX:100

AGI:100

LUK:100

<スキル>

慈愛の心LV5

癒しの魔法LV5

<加護>

女神の寵愛


 このアヤノというギャル。

 ギャルっぽい見た目をしながら、慈愛の心なんてものを持っているのか。

 なんだか意外だ。

 まあ意外なんて言ってはギャルに失礼かな。


ミコト 16 女

LV:1

STR:100

VIT:100

INT:100

DEX:100

AGI:100

LUK:100

<スキル>

回復魔法LVMAX

状態異常魔法LVMAX

聖女の祈り


 このミコトという少女は、何というか見た目通りだった。

 クラスのアイドル的存在だ。

 その空気はきらきらと輝いていて、癒しの空気をまとっているように見える。

 そして次は女子高生たちと仲良くしている幼女である。

 この幼女、オレよりきっと能力が低いのだろう。

 この幼女くらいは、おっさんであるオレでも頑張って、守ってあげないといけないな。

 なんて思っていたのだが……。 


ミコト 7 女

LV:1

STR:100

VIT:100

INT:100

DEX:100

AGI:100

LUK:100

<スキル>

聖剣の使い手LVMAX

剣技LVMAX

全属性魔法LVMAX


 幼女強すぎるだろ。

 っていうか、聖剣の使い手って何だよ。

 そして最後、その眼鏡をくいっと押して、クールな顔をしている少年はどうだろうか。

 眼鏡をくいくいとおさえるしぐさは、くせなのだろうか?


ショウヘイ 16 男

LV:1

STR:100

VIT:100

INT:200

DEX:100

AGI:100

LUK:100

<スキル>

索敵LVMAX

全属性攻撃LV2

全属性魔法LV2


 索敵LVMAXとはずいぶんと頭のよさそうな高校生である。

 そして全属性の攻撃と、全属性の魔法が使えるらしい。

 何だよ。

 この高校生は……。

 頭が良すぎるし、攻撃の種類も豊富すぎる。

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