第37話 休日お散歩

 今日は、店舗は休日で、アイギスさんとイリアは、2人で買い物へ出掛けている。

 俺は、畑の世話や錬金術素材の収穫などを終えて、畑を眺めていた。


「ふぅ……この眺めは落ち着くな。あれ? そういえばテマリどこ行った?」


 さっきまで、その辺で蝶を追いかけていたはずなんだけど。


「テマリー。おーーーい。テマリーーーー!」


 ……来ない。

 どこ行った?


 しばらく探していると、馬と馬車を入れてある厩舎の入り口が少しだけ開いていた。

 ここは、たまに換気のために開けたりしてるけど、まさか?


 俺は、厩舎の中に入った。

 


「わん!」


「ブルルッ」


「くーん」


「ブルッ」


「わんッわん!」



 中では、テマリと馬が、謎会話をしていた。


 そういえば、馬に名前つけてなかったな。

 

 なんとなくほっこりする謎会話を見た後、俺は家の戸締りをし、諸々の準備をして、テマリと馬を散歩に連れていくことにした。

 装備は、弓と短剣、マジックポーチだ。


 テマリを抱いたまま乗馬するのは、危ない気がしたので、手綱を引いて、テクテク、トコトコ、パカパカと町を歩いていく。

 テマリは従魔化した影響か、俺の前を尻尾をフリフリしながら歩いている。

 時折、こちらを振り返るのが可愛いな。


 途中、お店で麻布で出来たリュックがあったので購入。

 リュックを前につけて、その中にテマリを入れて馬に乗っていくことにした。

 丁度、俺の顎下にテマリの頭がくる形になった。


 馬術の歩方は、4種類あるようだが、町中なので常歩でゆっくりパカパカ進ませる。

 町の外に出たら速歩、少しだけ駈歩で馬のストレスを発散させてあげて湖まで来た。


 辺りを見回し、魔物がいないことを確認してテマリをおろす。


「テマリ、魔物に気をつけてな。もし何か来たら吠えて教えてくれよな」


「わん!」


 めっちゃ尻尾振ってるけど、たぶん分かってくれたんだと思う。

 

 この場所は、砂利になっていて、湖の水が、波打ち際のようになっている。

 テマリは、そこで水と遊び始めたので、俺は馬をブラッシングすることにした。


「よしよーし。お前の名前を考えなきゃな。うーん綺麗な栗毛で雌だよなぁ……」


「ブルルゥ」


 安直につけようかな。

 というか、俺にセンスなんてないから、安直な名前しか思いつかないけどね。


 栗毛、茶色……ブラウンとかチャッピー?

 おちゃちゃ、栗羊羹……

 うーん……


「マロンでどう?」


 ジッと俺を見つめる馬の瞳。


「えーと……ダメ?」


「ブルルゥ」


 その姿は、まるで『しょうがないわね』と言っているようだった。


 すると、何となくマロンと繋がりが出来たような気がした。


 ステータスを確認してみる。


=========

名前:麦蔵 譲司 (ムギクラ ジョウジ)

年齢:35

職業:無職

レベル:12

魔法:生活魔法、水魔法、火魔法、氷魔法

スキル:錬金術、御者、調べる、テイム、料理、弓術、体術、短剣術、魔力操作、指導、採取、農業、馬術

従魔:テマリ、マロン

加護:プルメリア神の加護

=========


 何となく色々スキルが増えてるけど、それよりマロンが従魔欄に追加されていた。


 もっと早く名前つけてあげれば良かったな。


「マロン、これからもよろしくな!」


 俺は、そう言ってマロンの鼻を撫でた。

 マロンは、それに答えるように、俺の手をハミハミした。


 うん、甘噛みですね。

 たぶん愛情表現だろう。だよね?

 くっきり噛み跡ついてるけど……。


 

 その後、ブラッシングが終わったマロンは、その辺の草を食べ始めたので、今度はテマリと遊ぶことにした。


 適当な木の枝を拾って来て、浄化をかけて準備完了。

 テマリを呼んで、軽く投げてテマリに取って来てもらう。

 取ってきたら、撫でて褒めてあげる。

 徐々に遠くに投げて行くと、草が茂った所へ入ってしまった。


 あっ、と思った時には遅く、テマリがその中へ入っていってしまった。


「テマリー! 別の棒持ってくるから帰ってこーい!」


 呼んでも帰ってこない。

 ガサガサと音が聞こえている。

 心配なので近くに行くと、わん!っと鳴き声が聞こえて、白い塊が2つ飛び出してきた。



「ん!? テマリが増えた!?」


「わん!」


 木の棒は、どっかに行ってしまったようで咥えてなかったが……そちらの子は誰?


 テマリの横に、同じようにお座りする白い動物がいた。

 犬や狼じゃないな……白い、小狐?


 テマリと白い小狐は、お互いに匂いを嗅ぎ合い、首を傾げている。

 うん、可愛いね。


「じゃない。え、親狐はいないのか?」


 辺りを見回してみるが、音も何かがいる気配もない。


「クォン!」

「わん!わん!」


 2匹は、俺の足元をクルクルと走り回っている。


 しょうがないので、2匹まとめて浄化をかけて綺麗にしてあげる。


 小狐は、浄化に驚いたのか、動きが止まった。


「うーん、おやつにしようか。お前も食べるか?」


 テマリは立ち上がり、俺の足に両手をつけて、尻尾を全力で振っている。

 小狐は、首を傾げていた。


 俺は、ほんの少し塩を振って作った干し肉を取り出して、テマリにあげた。

 すると、地面に伏せて、干し肉を両手で押さえ、噛みちぎりながら食べ出した。


 こうしてみると、テマリも成長しているなと思うね。


 小狐にも、干し肉をあげてみた。


 匂いを嗅いだ後、干し肉をぺろりと舐めて、首を傾げた。


 その後そのまま匂いを嗅いでいたが、しばらくするとテマリと同じように食べ始めた。


 少し食べた後、小狐は『クォン!』と鳴いて、干し肉を咥えて、草叢の中へ消えていった。


 テマリは、その時ばかりは『くーん』っと鳴き声をあげたが、すぐに干し肉を齧り出した。



 こうして、テマリとマロンとの散歩を終えて帰宅した。


 夕食の時に、馬にマロンと名付けたことを話すと、アイギスさんからは『相変わらず安直よね』と言われ、イリアは俺達を見て微笑んでいた。

 その後、白い小狐の話をすると、2人とも、白い小狐は見てみたいとキャッキャしながら、いつか、みんなで行ってみようという話になった。


 次行くときは、油揚げとかお稲荷さん持って行ってあげようと思う俺だった。





——————————

実際の狐の鳴き声って思ってたんと違うってなりますよね。

この物語では、コンもしくはクォンみたいな感じで行こうと思います。


実際は、ギャァァみたいな鳴き声なんでw

 


※誤字修正しました!

更新申し訳ありません!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る