第35話 マスタぁぁぁぁ!

 昨日、マスターと猥談をして楽しく飲んだ訳だが、その時に、マスターから相談された。


「ジョージ、氷魔法使えるやつ知らねえか?」


「うーん、俺の周りにはいないですね」


「そうか……」


「氷が欲しいんですか?」


「ああ、ヒノモトの酒場には氷の魔道具があるんだが、なんせ高くてよ。維持にもかなりデカい魔石が必要になるんだ。だからウチじゃ買えねぇんだよ……。冷えたエールやウイスキーのロックなんて飲んじまったら、ウチでも出してやりてぇなって思ってよ。あとは、氷魔法使えるやつがいたら、少しでも氷作ってもらって、飲み代タダにしてやりゃいいだろって訳よ」


「飲み代だけで働かせるんすね」


「そりゃおめぇ、そいつの実力次第で考えてやるよ」


「まぁ、そうですよね。氷なんてすぐ溶けちゃいますからね。真空の容器に入れるか、クーラーボックスに入れるかしなきゃ」


「ん? なんだその、しんくうとかくーらーってのは」


「あー、本で読んだんですけどね。容器の壁を二重にして、空気の層で保温保冷するって方法だったはずです……たぶん」


「たぶんかよ! ま、確かにすぐ溶けちゃ商売にならんからな。そんな便利なもんがあれば欲しいもんだな」


「まぁ氷室とか、それこそマスターの言ってた魔道具がいいんでしょうけどね」


「まぁな。氷室は聞いたことがあるが、ありゃあシバレールだけだな」


「へぇ、そうなんですね。でも、なんにせよ氷魔法ですよねぇ」


「だよなぁ……」


 こんな会話を昨日していた。


 で、悩める唯一の男友達のマスターに応えてやりたい!

 ダチのために! 

 居ないならば!

 俺がなれば良いじゃん!


「って訳で、今日から氷魔法を習得します! 覚えたい人!」


「ダチのためねぇ……ま、この際、覚えれるなら覚えておきたいかな」


「私も覚えたいと思います。そうすれば料理の幅が広がる気が致しますので」


「よし! じゃあやってみよう! 俺の予想では水魔法の形状変化でいけると思うんだよな」


 と言うことで、畑と言う名の裏庭で魔法を試すことにした。

 まずは、水魔法がどのくらい変化するか試してみた。


 結果は、形や温度の変化は簡単にすることが出来た。

 たぶん魔力操作のおかげかな?

 俺達は、温度を下げる練習をしていき、数日後には氷魔法を習得できていた。


「やっぱりジョージさんといると常識が崩れていく気がする……」


「……そう、でございます、ね」


「ま、覚えられたんだから気にしなーい! これで俺達はタダ酒タダ飯だぜッ」


「……ねぇ、ジョージさん。ダチのため!って言ってなかった?」


「……これで! 悩めるダチに応えてやれるぜッ!!」


「いや、今更だから。あと顔逸らしても無駄だからね?」


 ふっ……タダより高いものってのはねぇーんだな……。


「ご、ご主人様……」


 

 どうらや声に出てたらしい。



 呆れ顔の美人2人なんて見てない!

 見てないったら見てない!


 夕方前、俺は開店前のミュージックバーに訪れた。


「お疲れマスター。氷魔法使えるやつ見つけて来ましたよー」


「おお! 助かる! で、そいつは何処だ?」


「ふ……俺さ」


「は? ジョージは使えねぇだろ?」


「俺の、唯一の男のダチであるマスターのために覚えて来たんですよ!」


「なッ!? ジョージ……お前……」


「ふふふ、驚いちゃいましたか?」


「友達いなかったんだな……今日は俺の奢りだ……」


「そっち!? え! そんな可哀想な者を見る目までしないでもらえますか!?」


「俺は、ジョージが氷魔法使えなくたってダチだと思ってるんだぜ? 魔導書だって高かったろ? そこまでしなくても俺たちの友情は消えやしねぇーぞ?」


「マスター……」


「とりあえず、この桶に氷頼むな!」


「切り替えが早いッ!! 【アイスボーーーーーール】!!」


「おぉ! こりゃ良い氷だ! さすが俺のダチだぜ!」


「そうでしょう! そうでしょうとも!」


「じゃあ、こいつを使って、良いウイスキーのロック飲もうじゃねぇか!」


「お! いいですね! 飲みましょう!」


 

 こうして、閉店までマスターとゆっくり飲み食いしながら、氷を作り続けた。

 その後も、俺が店にいる時は、氷を頼まれるようになった。


 良いように使われた気もするが、ま、どうせ俺はあの店の常連だしな!

 他のお客さんも、俺がいる時は、冷えた酒が飲めるって喜んでるらしい。

 売上も十分に出ているってことで、俺はタダで飲み食いさせてもらっている。

 俺が、酔っ払って気まぐれで作ったナポリタンも酒に合うってことで、裏メニューになっているらしい。


 それに、俺が錬金術師ってこともみんなに知れ渡ったようで、店の宣伝にもなった。

 魔法も覚えられたし、ダチとの仲も深まったし、宣伝も出来たし良かったと思っている。


 そんなことをアイギスさん達に夕食時に話たら、若干呆れながらも、笑ってくれた。

 

 美人の笑顔って、なんでこうも素敵なんでしょうね。

 次の日、俺は普段は買わない、高いの食材・お酒を買って来ました。


 男って単純なんです!



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