クールでかっこいい、しごでき男装美人…好きでしょう?
ミステリアスな銀髪碧眼の美少女…好きでしょう?
…じゃあ、読むしかない。
『後宮の軍師は眠らない』──女の園・後宮に軍師?
あらすじにも書かれている通り、この『軍師』とは主人公・小雨のこと。
そして後宮に嫁ぐのは──彼女の想い人にして豪商安家の姫・翠鈴。
後宮といえば、皇帝や皇太子の『妻』達が住むところ。そんな!まさか、ふたりの間に男が挟まるの?
──安心してください、挟まりません。
徹底して、この二人はお互いのことを信じて想いあっています。
小雨と翠鈴は、皇太子の妃選びのため都に向かいます。
(その直前のお話、第二部で描かれる出逢いも尊いので、私なぞのレビューを見ている暇があれば第二部『裁きの塔』へ!)
もちろん、しごでき策子の小雨がやすやすと翠鈴を譲ってやるわけもなく…!
キャラの立った妃候補や後宮の女たち、彼女らを取り巻く権門勢家、そして安家の実家に、皇后──ふたりは果たして、この後宮をどう躱して走り抜けていくのか…⁉
続きが楽しみになる、王道×百合中華ファンタジーです!
万人へ心からお薦めしたい、上質で壮大な本格中華風ファンタジーです。
緻密な構成、突出した筆力、ヒロインたちの魅力。そしてなんと言っても、2人が愛を語るシーンの、背景で音楽が流れているような秀逸な美しさ。
軍師として育てられた小雨の胸のすくような知略と、銀髪碧眼の姫・翠玲の心を読む力や危うい魅力も見所です。
三国志や銀河英雄伝説が好きな方にはもちろんですが、そうでなくとも、ましてや百合が得意でなくとも、きっと私のようにグラグラと心揺さぶられ、気付いた時にはどっぷりとハマっていることでしょう。
後宮×陰謀が渦巻く話ながらも展開が決してドロドロとせず、どこまでも美しいのがつくづくお見事です。
ここからの展開、目が離せません!
翠玲という姫君の侍女をしている雨雨。
彼女は戦略家の一門に生まれ、戦のまっ只中を経験してきた。
その戦話がとてもおもしろく、雨雨の知恵と大胆さはお見事です。
後宮での雨雨の立ち振る舞いや観察力、知識には唸ってしまいます。
そんな聡明な雨雨なのですが、主人である翠玲の前ではちょっとたじたじ。翠玲に振り回されて狼狽える様は可愛らしくて、とても戦を経験してきた人には見えません。翠玲といると、雨雨は少女に戻るのかもしれません。
そしてこの翠玲と雨雨の関係は、実に不思議。
好きという感情がどのようなものなのか……二人の親密さにドキドキしてしまいます。
戦のある世の中。油断ならない後宮。複雑な人間関係。
そんな中で翠玲と雨雨の絆というのは、とても貴重で尊いものに思えます。
翠玲が後宮に入ったのち、どんなことが待っているのか。先の展開が楽しみです。