第2話 岡引一心捜査を開始する

 貰ったデータには数枚の図面と説明資料が保存されている。その中の舛上宅周辺図を見ると、四方を歩道付きの道路で囲まれた長方形の敷地には、周囲を高さ3メートルの塀が回されその上に赤外線監視装置が備えられていると付記がある。

北東側の4車線道路沿いに正門があって、反対側に裏門がある。その裏門から少し離れて人専用の通用門が設けられている。


 建物は大きく三つに分かれている。中央部は一流ホテルのような吹き抜けの広いロビーを中心に応接室や会議室、厨房などがあり、中央奥に設けられた大きな螺旋階段には何やら細かな工作があるようだ。図面上ではよくわからない。が、それを上がると来客用のバストイレ付きの個室になっている。

そして、東側に守衛室と秘書の宿泊所が、西側には家族の住居があり、その三つの建物は一階の廊下で繋げられている。

 住居は、一階が夫の部屋と書斎そして妻の部屋にダイニングやキッチン、リビング、風呂などがある。二階には子供部屋が三つ並んでいて一階同様ダイニングやキッチン、リビングに風呂まである。トイレは各部屋にも備えられている。


 裏門から入ると傍に駐車場が広く取られ、自宅や守衛室へ向かう廊下に其々玄関が用意されている。

 各窓やドアには警備会社の警備システムを設置していて、建物内へ侵入するには各門にある監視カメラや塀の上の監視装置と、窓や玄関の警備システムをすり抜ける必要があるほか、3時間ごとに守衛が敷地内を巡回すると警備図面に付記されておりかなり難しそうだ。

 

 家族は三人。亡くなった主人で舛上コーポレーション株式会社社長の舛上海陽、今回の調査依頼主で妻の紅羽、一人息子で同社役員のである。

その他に建物内には、調査依頼のため来所した秘書長の氷見誠一ほか秘書5名、守衛は4名、家政婦3名、コック2名らが交代で務めている。守衛だけでなく秘書も複数名が夜間も待機している。

貰った説明資料にはそんな内容が書かれている。

 

 主人の海陽が亡くなっていたのは、自宅一階の書斎のトイレの中ということのようだ。

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