「授業中に妄想する中高生様へ」という書き出しで読者に宣言する通り、これはフォッカ氏の作品群の中で最も「全力で燃やしに来ている」一作だ。
プロローグの路地裏シーンが秀逸だ。「幸せのために撃つ」という倒錯した論理を持つテロリスト・龍康殿と、その部下フィアナ。拳銃を構えながら「無知の知はとても賢い」と説く龍康殿の不気味な穏やかさは、前作「追憶の心臓」のみぞなのソクラテス好きとは真逆の、哲学の暗い使い方で面白い。
二丁拳銃と体術を組み合わせた「銃舞《スイーパー》」、洗脳装置を持つ謎の組織「Alluring Angel」、覚醒者「NaSOE」固有名詞とシステムの作り込みが丁寧で、この世界に独自の体系があることが伝わってくる。
完結済み82話・21万字はフォッカ氏の作品の中で最大規模で、プロローグ・プロ本編・全5章構成という骨格もしっかりしている。「追憶の心臓」の温かさとは全く違う顔仲間を洗脳されても諦めない主人公の真摯さで読ませる、フォッカ氏の本気の一作だ。