第48話 秀欣平、最期の盆
秀欣平の独裁体制に陰謀論や噂話ではなく、確実に陰りが見えてきている。総書記として、2024年7月、北戴河会議にて長老から権力を奪われ、秀欣平を中核とした党中央や秀欣平思想の貫徹という忠誠の定型文が次々と削除された。国家主席として党内の混乱を隠すため、外交の場では維持を振舞っているが監視の中の緊張に包まれた振舞になっている。軍の代表である中央軍事委員会主席としては秀欣平側近幹部が次々に失脚。秀欣平の独裁体制から集団指導体制に移り変わろうとしている。
中酷強酸党の機関誌である人民日報が秀欣平の最強のライバルであった共青団派で上海のホテルで怪死した李克卿前首相を讃える長文の記事を公開した。秀欣平が権力を維持していれば絶対に公開されないものだ。
李克卿は、長年に渡り忠実な強酸主義戦士であり優れた無産階級の革命家・政治家であり、傑出した指導者だったと讃えた。面子を重んじる中酷では、内部抗争があったとしてもスムースに移行したことアピールする。
人民日報にはこうも記載されている。民主集中制を尊重し、党の「集団的な指導体制」を守り、国民との距離を縮めることを意識しながら多様な意見を受け入れ、社会の各方面の活力を引き出す努力をした。政府は民意を反映し、民の利益を守り、「監督を受け入れる」べきだとある。人民日報の投稿は、李克卿の美談に留まらず、秀欣平の独裁体制を批判し、集団指導体制に回帰すべきだと発信している。しかし、この記事の拡散や投稿削除が行われている以上、まだまだ、秀欣平の権力、いや、側近たちの気遣いは伺い見えるのも事実だ。
しかし、独裁解除宣言と受け取っていいに違いない。秀欣平は命か権力化を選択せざる立場に追い込まれているとなれば、公の場に顔を見せられなくなり、重要なBRICSの欠席の様に行動制限が科せられるのも間違いないだろう。いずれにせよ盆の辺りで決着がつくのは間違いないのではと考えられる。
軍部の苛立ち解消のような尖閣や台湾、大西洋進出が止まれば、新体制の構成が終盤を迎えたと考えていいだろう。
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