第27話 残り女
四川・北京。広州でお見合いパーティーが開かれた。中国の適齢期を過ぎた女性が増加している。特に美人で修士号保有者が農村の男性を選ばなければならない状態にある。中国では都市戸籍と農村戸籍という区別が存在し、大きな都市とそれ以外の住居区別もある。エリート女性が結婚できない、相手にされない「残り女」が急増している。広州でお見合いパーティーの参加者は、男性が10人程度で女性は40人とも100人にもなっていた。これは珍しいことではない。出生率からみて男性の方が多いのだが、結婚に恵まれないのは女性の方が多い。優秀な適齢期を過ぎた女性が優秀な適齢期を過ぎた男性を探すのは非常に困難な状態にある。優秀な女性は資格や職業のスキルを得るため頑張っているうちに38歳を迎えている場合が多い。男性は若い女性に目が行く。結果、優秀な女性を追いかけるのは農村の独身男だけになる。結婚したければ、キャリアのすべてを投げ打って農村で暮らせとなる。
お見合いパーティーに参加する多くは27歳を過ぎて独身の女性が多い。彼女たちは優秀なと言うにはほど遠い存在だが、「残り女」というレッテルを貼られた者たちだ。供給と需要のバランスが大きく壊れていおり、「残り女」の現状は深刻化を増している。「残り女」は結婚を諦めるか海外に出ていく。優秀な適齢期を過ぎた女性は若い時は人生を謳歌していたが病気になったときに、人間ってやはりパートナーが必要だと強く感じたと言う。中国経済の低迷と就職難から、貧富の格差は広がる一方。
多くの人が将来を考え博士号を取り、修士課程に進み、学士課程に進むころには28歳になり「残り女」になってしまう。必死でエリート街道歩む女性が立ち止まると周りの女性は結婚し、子供を授かっている現実に直面する。中国の優秀な女性の現状を車業界で例えれば、新車・新古車となり、最後には中古車扱いされると言う事だ。ある女性が嘆く。「こんなに優秀な私がうっかりして残り女になってしまった。以前は焦らなかった。博士号を取った私に男性は話もできない高嶺の花だと思っていた。私も相手の男性が自分とは釣り合わないと思っていた。結婚相手に高い基準を設け、結婚できない理由にしていた。そして40歳を迎えようとしている。若い時の結婚のチャンスを逃してしまったことを後悔している。今、同じ年齢の男性は訳アリの男性です」と悔やんでいた。この女性の今は昔なら全く興味を持たない男性と話しているのに気づいた。結婚に焦っていると強く感じているが誰でもいいとは思っていないとも語っていた。
悩む女性の多くが農村出身者で努力して大都会で暮らせるようになった者が多い。彼女たちからすれば困窮しても不便で野蛮な農村に戻りたくないという本音もある。
これは海外の訪日客も語る事だ。日本は都会は都会のいい所があり、農村もいい所がいっぱいある。日本の農村は自国と比べて別格だと感じる人が多い。日本の農村はインフラなどが整い、他国より超絶豊かなのに驚きを覚えるのが現実だ。
優秀な女性は仕事第一主義で恋愛は二の次と感じている傾向がある。不規則な労働時間で毎日疲れており、誰かに合わせる気力さえないと語る。プライベートで他人と会うストレスに耐えられない。理想の高さは選り好みを生み、結果としてチャンスを逃すジレンマに陥ってる。
彼女たちの月収は日本円で20万円以上から年収は600万円以上になる。それに似合う男性が極端に少なく見つけることが困難だと言うのも豊かだと言われ続ける中国の実態だ。日本の報道はいつも氷山の一角を取り上げ、豊かさを強調するから注意が必要だ。一時ブームになった爆買いも近所への見栄だったり、転売目的であり、それを日本のマスゴミはアラブの春のように報道し、錯覚を日本人に植え付け、如何に日本人は貧しいかの印象操作をしている。
中国のネットではこんな反論がある。身長が175㎝で月収が1万元(約20万円)ある男性がなぜ38歳のあなたを選ぶんですか?出産できる若い女性を選ぶでしょ、と。逆に交友関係が狭く自称引き籠もりと言う美人で通る女性が、男性とお見合いをした。それが炎天下の公園だった。女性は暑さでグロッキー。水を買おうとすると男性は10元もするよ。家の近くなら2元なのにと言われ、「ケチ」と言ってその場を去った。儒教の中国では両親が心配し、あれやこれやと手を焼いてくる。しかし、紹介される男性は屑だった。一人目は、まず月収を聞かれ、持参金はない。毎月弟のための学費に8万円払ってくれ。家購入は折半だ。老後は俺の両親の面倒も少し見てくれだった。二人目は二度目のデートの時に行為を迫られ、断ったら「別れよう、だから結婚できないんだ」だった。三人目は体重身長を聞かれた。165㎝52㎏と答えると好みに合わないと言われた。その男は165㎝以下で80㎏はあるのに。四人目は初デートで財布を忘れたと言う。私が払うからと言うともう一品明日のご飯だと注文した。何かが壊れていく音がした。本当に希望が持てなくなったと35歳の体験談が中国民度の本音が見えてくるエピソードだ。
適齢期を過ぎた女性は、結婚そのものを諦めてしまう場合も少なくない。これでは日本も他人事ではないが少子化に歯止めは聞かない。
少なくても日本は、勢いで結婚し離婚し、また結婚と言うのも少なくない。結婚に慎重になるのは仕方がないが、石橋を叩いて渡るでは叩き過ぎて石橋を壊してしまうこともある。ギャンブル的要素は多分にあるが、大きな期待をしなければ、大きな怪我をせず、こんなものかと得る幸せは案外居心地のいいものかもしれないことを念頭に置いておくのは必要だ。住めば都のように馴染むのが一番だと考える。
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