第6話 失業者が急増で好景気!異次元の経済。
雇用機会を喪失させた中酷で若者の失業率は46%を上回っていた。有名大学を卒業しても配達人に就けるのがいい方だ。強酸党が支配する公務員職等夢のまた夢。強いコネで就けたとしても給与の未払いや40%近い減給が待っている。秀欣平は若者の不安を払拭するため好待遇で軍隊への入隊を推進した。富裕層の底辺にいる若者は安定した収入を得るため挙って入隊を希望。その他の若者は将来を卑下し何もせず親の脛を齧り続ける寝そべり族となっていた。不況の中で入隊を果たした若者に待っていたのは、約束とは違った減給と未払いの嵐だった。軍隊はやる気をなくし訓練どころか一日の暇な時間をどう過ごすかで四苦八苦。軍隊の指導者は、国の待遇に不満を抱き、燃料や弾薬など横流しできるものは何でも利用して私腹を肥やしていた。メンテナンスに掛ける費用は全て高官の懐を豊かにするだけだった。
軍隊の腐敗は以前から問題になっていた。そのため秀欣平は軍隊内に蔓延る派閥の 解体を推進した。その結果、紅二代が牛耳っていた組織力は一気に低迷し、団結力など微塵もない組織に変貌した。紅二代が牛耳っていた頃には国のために戦う意識はまだ残っていたが今は国より己を守る軍隊と化していた。
欧米諸国からの制裁とも取れる次世代半導体の締め付け。その半導体製造で優位に立つ企業が台湾にあった。その台湾で総統選が行われた。台湾独立派の与党、台湾と中酷との関係を現状維持とする融和派。中酷派の野党との三つ巴。中酷は政府を傘下にするため中酷支持の野党統一を図るが失敗。中酷はインフルエンサーを抱え込み若者を対象にSNSを使いプロパガンダ活動を激化させた。特に中酷を疎遠することは戦争を意味すると台湾国民に訴え、関係の改善を訴えた。国民は戦争を嫌い独立より融和を求める声が上がっていた。それでも優位に立つのはひとつの中酷ではなく、ひとつの台湾を訴える与党だった。それに焦ったのか僅かに上向いた中酷支持に箍が外れたのか中酷支持の前前総統の台湾は香港のようになれと言う中酷依存の強化発言が与党支持を後押した。
同時期に行われた議会・立法院の選挙では与党民信党が過半数を維持できず、五月に就任する予定の瀬氏は難しい政権運営を強いられることになる。中酷の台湾への内政干渉は激化するのは想定内だろう。
台湾総統選の敗因は野党の一本化に失敗したことだ。次世代半導体で優位に立つ企業は中酷リスクを避けるため他国に製造工場を移すことを急いだ。秀欣平にとって不都合な行動であることは明らかだ。願わくは総統選で勝ち台湾政府を牛耳り、台湾にある企業に入り込み技術や特許を奪い半導体で優位に立ち欧米諸国を跪かせたかった。その思いが強く中酷国民も巻き込んでひとつの中酷を拒否するなら武力行使も遑がないと恐怖を煽った。
他国への移転が終われば優位性が大きく損なわれる。国内産業・経済の復興はもう絶望的だ。最後の復興の手立てが台湾を我が物にすることだった。技術を盗んでも独自で半導体製造できない中酷は軍備のメンテナンスが出来ずに焦っていた。さらに備品の横流しも以前にも増して横行していた。軍高官は不遇への不満からミサイルの燃料を火鍋の燃料に扱ったり、炎の色が緑で美しいと横流しし、打音検査を逃れるため水に差し替えたり、ミサイルハッチが開かない不祥事が発生していた。さらには餃子を作るように軍艦を作られ、多くな故障を発生させ、米軍に笑われる始末。見せかけの映画村のセットのような兵器を誇示して戦狼外交に使っている。事実、弾薬袋に木片を詰めていたのは有名な話だ。
中酷事情では噂の範疇を超えないが四川省の地震の際、地下の核兵器庫が破壊され核爆弾の殆どかすべてが使えない状態にあると言われ、報道で流される物は上物の見せかけだともされている。
大金が掛かるメンテナンスもその費用の15%以上が意図不明で消えている。中酷の汚職は軍関係が最も多い。何もかも歯車が嚙み合わなくなっていた。軍部の士気は明らかに衰えている。台湾を手中に収めるまで中酷国内が持つかも危ぶまれている。それを象徴するように中酷が主張する九段線と呼ばれる不法な領海に反発し、フィリピンが九段線を分断するような南シナ海の場所に前哨基地開発計画を発表。中酷からの反発にも強気な態度で対応している。益々、中酷を取り巻く世界は、中酷の孤立へと舵を切っているように見える。
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