「読まないで、感じて」という作者の言葉通り、これは普通の意味での「小説」ではない。クトゥルフ神話の空気をまとった異形の存在が、目玉焼きを作って眠れる主神に捧げるという構図だけ辛うじて読み取れるが、言語はほぼ崩壊していて、音と感触と宇宙的恐怖が入り混じって脳に直接流し込まれる。
「IA! IA!」「ぶちゃぁ。ぶちゃぁ。」と繰り返す呪文のようなリズム、グラフが追いかけっこをして色になるエントロピーの描写、最後の食事音の行これらが999文字に凝縮されていて、密度が異常に高い。
宇宙的な狂気と、朝の朝食という日常の取り合わせが最高にバカバカしくもあり、ちゃんと怖くもある。クトゥルフ好きにはグサッと刺さる一作。読む前の正気度の補充だけ忘れずに。