その6、ファミレス
それから数日経った日曜日の午後。
朝から降り続いている小雨はようやく止み、雲のすきまから太陽がのぞいている。
まばらに照らされる日光が温かい。
俺は、いきつけのファミレスの奥にあるボックス席にいる。
目の前には、スープバーのコーンスープを飲んでいるスーさんがいた。
「お前、幽霊ってみたことあるか?」
「なんだよ急に」
「俺、一回だけ見たことあるんだよ。
よくわかんないんだけどさ。
小学校の頃、夜トイレに起きたら、実家の廊下を知らない女の人が歩いてたんだ。
その廊下、古いから歩くとギシギシ鳴るはずなんだよ、でもそんときはいっさい音がしなかった。
その人は家族とか遊びに来た親戚とかじゃなかった。
今まで見たことがない女の人でさ、髪がありえないほど長くて地面についているんだよ。
それをひきづって歩いていた」
「誰なんだろうな、先祖の霊とか?」
「分からない。
暗くて顔は見えなかったんだけど、すげー怖かったのを覚えてる」
「うちでさ、代々伝わる呪いの唄ってあるんだよ。」
「まじで、なんかカッコいい」
「結構洒落にならないんだって。
なんか昔から男がおかしな死に方をすることが多いらしくてさ、
その直前に変な唄を歌いだすらしい」
「唄? 呪文みたいなもん?」
「俺もよく知らないんだけどさ、唄った本人は自覚がないんだってさ。
うち、家系的には古いからさ。
金はないけど歴史だけはあるんだ。
なんか昔あったのかな」
「代々伝わる呪い的なやつ?」
「そうそう、男だけを殺すシステム。
血を絶やし、根絶やしにするのが目的なんだろうな。」
「なんで唄なんだよ」
「分かんない、先祖の誰かに聞ければいいんだけど」
それでさ、この前の風呂場での唄が正直気持ち悪いなって思ってたんだよ。
そうしたらその後、スーパーで知らないおばさんに、そのときの唄の歌詞と似たようなことを言われた」
「なんて?」
「なんか、たまずさとか、根絶やしにはならないとかなんとか」
「うわー怖いいい」
「そんで色々調べてみたなよ。
俺の父ちゃんは2年前に病死しててさ。
ただ別におかしなことはなかったって母ちゃんが言ってた。」
「じゃあ、お爺さんはどうなの」
「それがさ、行方不明だって。
ぶらっとどこかに出かけて、それっきりらしい。」
「お婆さんに話を聞けるといいんだろうけど、まだ入院してるんだっけ?
「ああ、なかなか体調が戻らないらしくて、もう歳だからな。
今度、見舞いがてらになんか聞いてみるか」
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