その4、友人

俺の体調を気遣って、幼なじみの友人が見舞いに来てくれた。

やつのことは、小学生の頃からスーさんと呼んでいる。

あだ名の由来は、やつが小学校の頃ビビアン・スーが好きだったから。

子供のセンスなんて、そんなもんだ。

スーさんとは気が合うため、大人になった今でもよく遊んでいた。


いつものように俺の部屋に集まると、

一晩中酒を飲みながらバカ話で盛り上がった。

夜が明け、東の空が明るくなってきた頃、俺はシャワーを浴びた。

トイレに行くため、脱衣所の前を通りかかったスーさんは異変に気づく。


風呂場で声がする。

俺がシャワーを浴びながら、大声で唄っていると思ったらしい。

面白がって脱衣所に入り、スマホで風呂場の扉を録画する。

その後、風呂上がりの俺に、ゲラゲラ笑いながらその動画を見せてくれた。


昭和を感じさせる風呂場の曇りガラス、その向こうに、人影が動いている。

俺が、シャワーを浴びている。

シャワーの音と一緒に、俺の声が聞こえた。


「すみのあに……とうとうと……おかありを……すえらかす……」


たしかに、何かを大声で喋っている。

メロディーがある歌、というより、能の序盤にやる謡曲のような、独特な唄だった。

何だ、これは。


ザアアアアアアアア。


シャワーの音に混じって、かすかに唄が聞こえ、それがだんだん大きくなっていく。

しばらくして俺が風呂場から出てきた。

そこで、唐突に映像が終わった。

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