いつかのプロポーズ

 調子に乗って少し食べすぎたかな。お腹が苦しい…。温泉に行きたいけど、もう少し落ち着いてからにしようかな。


 部屋に戻って大人しくテレビを見ていると、亮がガサゴソと荷物の中から何かを探している。


「あのさ、美穂」

「うん?なーに?」

「⋯⋯結婚したいな」


 亮が荷物の中から見つけた何かをテーブルの上に置いた。


「いつも言ってるじゃん。そのうちしようねって。だからするでしょ。ってか、これ何なの?」

「開けてみてよ」


 言われた通りに開けてみると、そんなに大きくはないけれど、ダイヤのついた指輪が入っていた。


「亮、これって…」

「いつも言ってるけど、これはほら、ちゃんとしたやつ。本気だから」

「…うん…」

「美穂、ずっと一緒にいたい。俺と結婚してください」

「……もちろん、いいに決まってるでしょ」

「良かったぁ」


 随分と安心したような顔をしている。断るわけないのに。


「いいんだけど!いいんだけどさ、もう少し場所とタイミングを考えて欲しかったなぁ」

「え?旅行先でいい雰囲気じゃない?」

「いやいや、お腹苦しくってテレビ見てダラダラしてたんだよ。どうせなら、少しお洒落なレストランとかさ、夜景がきれいなとことかさー」

「リアルでそんなの難しいって。俺にはこれが精一杯だって」

「えぇー。頑張れよー」


 ま、亮らしいプロポーズだったよね。

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