物語の始まりがとても叙情的であって夢の中にいるような描写。これから読者と旅路をともにする登場人物の幼き日の記憶から始まります。エレオノールとウルリーカ。序章に描かれるふたりのことを、強く焼き付けて読みすすめていってください。そして物語が少しすすんでから出会う少女、ロリ。彼女との出会い、運命的な交差が物語を大きく動かしていきます。特に心から叫びたくなるような思いにかられました。読みすすめていく場面ごとに生まれる感情を、3人の歩みとともに、ラストまで持っていってみてください。果てにあったものはどういうものなのか、その見え方はひとつではないと思います。貴方にとってどんなものになるでしょうか? 命があること、生きていてもいいこと、それを喜んでくれる人がいること。私にとって読後はとてもよいものでした。
敬虔な信徒でありながら、今は酒に溺れる聖騎士エレオノール。
かつての幼馴染で、同胞の血に手を染めて出世していったウルリーカ。
そして、すべてを捨てて極寒の新天地を目指す少女ロリ。
この三人の想いを軸に、物語は進んでいきます。
ファンタジーや中世を感じさせる重厚な世界観の中で、信仰と罪、神と救い、冒険と戦争といった要素が、美しく丁寧に描かれています。
文体は落ち着いていて重厚で、暗く冷たい土地の空気感がしっかりと伝わってきます。
本当はもっと語りたいのですが、
この作品は余計な情報を入れずに読んだ方が、より深く味わえる物語だと思いました。
綺麗で、重く、仄暗いファンタジー小説が好きな方には、ぜひおすすめしたい一作です。