• マイページ
  • 小説を探す
  • ネクスト
  • 書籍化作品
KADOKAWA Group
  • ログイン
  • 新規登録(無料)
パンドラの匣

パンドラの匣

太宰治/カクヨム近代文学館

おすすめレビュー

★で称える
★★★
★8
3人が評価しました
本文あり
日付が新しい順

本文ありのおすすめレビュー

  • 佐々木広治
    75件の
    レビューを投稿
    ★★ Very Good!!

    墓前へ手向けた一輪の花

    多分、だが、本作を書きながら、太宰治は幾度か涙したのではないか。
    晴朗でユーモアのある内容、もちろん深刻な部分もあるが、と疑問に思われるかもしれぬ。
    太宰治は、周知の通り、ファンだとか知人の日記だの手記だのを元に作品にしている。本作も然りで、ファンから送られたものを元にしてある。その方は自殺されている。その方にとって、ファンである太宰治に読んでもらうこと、作品にしてもらうことは誉れであり、うれしかったことだろうと推察する。そうあって欲しいと願いもする。
    そして太宰治は、明るく晴朗なほうへもってゆこうと、志たのだろうと思う。祈るように、涙しながら。
    これは、太宰治がファンの墓前へと手向けた一輪の花ではないか。

    • 2023年9月18日 15:42