またまた厄の匂い
俺とさっきの女の両社が定位置につく。
位置についてのを確認した後試合形式の確認をする。
「ルールは一本勝負、何でもありの寸止め形式で行い初期位置は両者間隔4m、でいいよな?」
「…ああ、問題ない。」
「ならば開始はこのコインが落ちたらスタートだ、いくぞ」
最後にウルスラグナの財布からパクったコインを上に投げると、相手の顔が真剣そのものとなる。
それを見た俺は足を半歩開き、何時でも動ける体制を取った。
1回、2回と深呼吸をしてから相手を見る。
腰を低く保ちながら何時でも抜けるよう手は刀の柄に手を添えている。
その状態を維持していながらも重心は全くと言っていいほど動いていない。
確かにこれは天才と言われるのも納得できる、のだがこの子はいかんせん素直すぎる。
そろそろコインが落ちる。
いつになってもこの対人戦前のこの緊張感はたまらないな、この緊張感があるからこそ私はいま戦うのだとハッキリわかるのだから。
さぁ、
「はぁっ!」
相手は予想通り初手から突っ込んできた。
速さは十分だったが予想通りの行動、して一直線ともなれば容易に対処できる。
相手も初撃は防がれると言うのは分かっていたらしく、女は次の行動、左逆袈裟斬りにでる。
だがしかし、その二手だけで詰めさせるには余程の実力差がなきゃ到底不可能だ。
1度実戦を経験した者ならば誰にでも分かる話だが相手は子供、この年位のやつらには、この二手で詰めていたかもしれない。
が、自分で言うが俺はプロだ、プロ相手にこの二手だけでは足りない。
そして左逆袈裟斬りの対処法は単純明快、右に移動するだけ。
この行動に相手は俺側に一歩前に出て、一文字斬りをする。
確かにその選択は今の状況において二番目に良い選択だろう。
この状況で無理に突きを繰り出したとて横に回避されたら体制を大幅に崩し終了、
真向斬は決め手としては欠けるだろう。
逆袈裟斬りは悪くはないが今躱された所を見て二連続で出したくはないだろう。
ついでに出されたとしても躱せる。
だが今回の一文字斬りの場合は相手が一歩踏み出しているため、後ろに一歩下がっても、横に回避しても避け切れないだろう。
だが…
「なっ!?」
単純動作、弾くだけで隙だらけとなる。
俺は相手の一文字斬りを抜刀する際の柄で弾き、燕返しを決める。
剣を首に当たるか当たらないかすれすれの位置で止め、相手に勝利宣言をする。
「俺の勝ちだな」
勝利宣言をし、納刀ならぬ納剣したその瞬間身体が水に沈んかのような錯覚に陥り、五感が鈍り女の声が遠のいていく。
そのせいであの女が何か言っているが所々しか聞こえない、よろけた足取りで木に近ずき寄りかかる。
しかしこのまま意識を手放したら何か言っている女が少しかわいそうだな。
仕方ない、そう思い口を開く。
「お前には嘘が足りない」
(まぁ技術も足りないんだがそこを言ったら切りがないし俺はどうなるんだとなるからだまっておくとして)
「家に帰ったらお前の父に稽古を頼むと良い。
勿論本気を出してもらってな。
もしダメだった場合は『武の道に終わりは無い、だが有限である』と言え。
武に携わった事がある奴なら殆どの確率で練習に参加させることが出来る殺し文句だ。
さぁ、家に帰ってボコされてこい」
言葉を言い終え、あの女が去ったのを確認した後、またもや視界が真っ暗になり気が付けばまたTVの様なものだけが置いてある部屋にいた。
またか、と思い光っている側面を見ると…。
やはりというべきかウルスラグナがそこに居た。
そして酷く歪んだ表情で喚き散らかしていた。
『あのクソ女!次会った時は覚えてろぉ?体の隅々までいたぶってから殺してやるよ!くっはははは!』
そう宣言していた。
「はぁ、マジかぁ、またやんのかよこいつ…」
ウルスラグナの宣言に止音は頭を抱えながら疲れたような声で呟いたのだった。
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あとがき
ネタが思いつかない定期
表はクズでも裏は良き?〜悪徳貴族のやらかし〜 Pgu @Pgu
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