「血税は月一回、注射器で」。吸血鬼と人間の共存を、こんな現代的な発想で形にしてしまう序盤にまず唸りました。魂だけ召喚された三十路の男が、弱点のない吸血鬼として盗賊に襲われた村を救い、村長として立て直していく物語です。
地球の作物を少量だけ召喚できるといった能力の縛りが内政パートにほどよい手応えを与えていて、一人称の軽い語りとイーリとの掛け合いもテンポよく読めます。
一方で、"弱点ゼロ"の看板どおり主人公が強すぎるため、序盤の揉め事は威圧ひとつで片付いてしまい、ハラハラする場面はほとんどありません。強敵との駆け引きより、無双しながら村が豊かになっていく過程を楽しむ作品だと割り切ると相性が良いと思います。
最終更新から一年以上止まっているのが残念です。領地がどこまで育つのか、続きを気長に待っています。