第陸問

「楠ノ木さん聞こえてる?」


「……」


「あれ?」


「岡部くん」


「うん?」


「あ、いえ何でも」


「そう?」


「岡部くん……」


「うん、さっきからどうしたの?」


「ええっとですね、ですね?」


「あれ楠ノ木さん、熱あるんじゃない?」


「え、そうですか?」


「なんとなく……」


「では」


「問題かな?」


「実際に触れてみて頂けませんか?」


「ふ、触れる?」


「はい、お願いします」


「いいの?」


「はい」


「では……楠ノ木さん、お体に触りますよ」


「あの? 背筋が凍るような物言いはやめて頂けませんか……?」


「すいませんでした。それじゃちょっと失礼して」


「……っ!」


「うーん」


「あの!」


「さっきより紅いような気がする」


「もう、大丈夫です。岡部くんありがとうございました」


「風邪かもしれないし早退した方がいいよ」


「そうだったらよかったのですけどね」


「え?」


「いえ何も。では先に帰る事にします、また明日」


「お大事にね」


**


『それでは第ろく問です。お答えください岡部君――』


「今日はすごく静かな日だな……」

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