意外な真実

帰りに渡り廊下を渡り、校舎を出たところで陸上部とすれ違う。瀬尾先輩はさっきのこともあってか私を横に隠れるように歩いてくれた。そんな時に声をかけられる。

「美寿?」

その声の方に振り向くと黒髪で短髪の長身な幼馴染は微笑んだ。目元はぱっちり二重。でもそんなに口数多くないためかクール王子なんてあだ名をクラスの人がつけていたことを私は思い出した。

「春!」

「これは陸上部の時期エースくん!美寿と幼馴染なんだね」

その言葉を軽く無視して春は私に話しかけた。

「美寿が誰かと帰るなんて、いや、しかも男と帰るなんて珍しいね」

昔と変わらない笑顔で私に微笑む春に私は言った。

「うん、ちょっと書道部に行ってて」

私の言葉に春は心底驚いたのか一瞬固まった後で言った。

「え?まさか入部しないよね?」

瀬尾先輩は笑いながら言う。

「その言い方は心外だな。それを決めるのは美寿だ」

春は瀬尾先輩を鋭く睨んだ。

「部外者は黙ってろよ」

「言うねー。一応先輩なんだけど?」

そこにまた成瀬さんが来て春を軽くたたいて行ってしまった。

その時携帯の着信が鳴り、母からの電話を確認した私は苦しくなってその場でうずくまる。

「え?美寿?大丈夫?」

すると先に行ったはずの春が瀬尾先輩を突き飛ばした。私から携帯を取り上げていったん隠してから春は私の背中をさすりながら落ち着かせようとする。

「美寿、大丈夫だから。携帯はもうない。お母さんにも俺から話しとくか落ち着いてゆっくり深呼吸するんだ」

言われたとおりにゆっくり深呼吸をする。

「なにも知らないくせに入り込んでくんなよ!」

瀬尾先輩に怒鳴った春に私は言う。

「春…違うの…聞い…て」

そう言っても春に私の声は聞こえていなかった。春が瀬尾先輩に怒鳴り散らしてただただ驚く瀬尾先輩に私は話しかける。

「瀬尾先輩…また今度お話ししましょうね?」

ゆっくりうなづく瀬尾先輩を後に春が呼んだタクシーに乗った。ゆっくりと意識を手放したらしい。

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