私は絶対奇跡を諦めない

紺野翠

prologue

あの日、あの時。

なぜか涙が止まらなかったんだ。

溢れ出した涙はとめどなく大きな滴となって滴る。 

あぁ。私はきっと声を出して泣きたかったんだ。

誰かに言えない心にある叫びを言いたかった。

助けてほしい。暗闇の中から私を救い出してほしい。

いじめられた子を助けたときのことがフラッシュバックした途端、そばからいなくならないで欲しいなんてわがままな願いを呟いてしまいそうで怖くなる。

家族に助けを求められるのは普通の家庭だけど母親がめんどくさくて、海外に仕事に行った父親。兄妹もない私は母と2人きり。昔から心配性でなんでも私のやることなすこと全てを支配しようとしていた母は変わることはなかった。

学校に行っても家に行っても変わらない地獄。

友達も全て失った。変な正義を振りかざしたせいだとは分かっていても受け止められない。

今、この空間から全てを投げ出すことができたら楽になれるのだろうか?

答えの出ない問いを頭で呼び起こすたび悲しくなった。

そんなとき私の目の前に君が現れた。

太陽みたいな笑顔で笑う眩しい君は私を笑顔で真っ直ぐな言葉で手を差し伸べてくれたんだ。

"絶望するにはまだ早い。若いんだから!"

その言葉だけで世界が色鮮やかに彩られた。

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