(二)-17

 スワンボートを下りた後は、湖の畔のベンチで休憩した。

 高野は普段使っていない筋肉を使ったせいか、ベンチに腰掛けるときに「疲れたー」と叫び声を上げた。

 二人はそこで中学時代のことを互いに話し合った。高野がサッカー部の試合で県大会出場をギリギリのところで逃してしまったことや、園子があまり知らないクラスメート男子たちのことなどを高野は園子に聞かせた。

 そんな思い出話に花が咲いた。そして、午後三時を過ぎ太陽の光が徐々に橙色に染まり始めころ、高野は急に立ち上がった。

「行かなくっちゃ」

 高野はそういうと、またも園子の手を掴んだ。そして「来て」と言って腕を引っ張って園子をどこかへ連れて行こうとしていた。


(続く)

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