(二)-13

 園子は一番前には座りたくなかったが、幸い、一番前は十二組のうちのひと組だけなので、自分たちが当たるわけがないとたかをくくっていた。しかし、コースターにいよいよ乗れると思ったその時、園子と高野は係員にプラットホームに入るのを止められてしまった。即ち次のコースターに乗る際には一番前に案内されるのだ。

 園子は心の中で大きく膝を落とし、ため息をついた。

 その様子が顔に出たのか出ていないのか、高野は園子の方を向いて「一番前だね。怖い?」と聞いてきた。

 園子は軽くうなづくと、さっきから握られっぱなしの右手をぎゅっとして「大丈夫だよ」と園子の顔を見つめてきた。


(続く)

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