第1話 彼女との出会い

 幼い頃になったロタウイルスという病気の後遺症で身体に障がいが残ってしまった青葉拓実は、大学生活を送るにあたって「アテンダントサービス」というサービスを利用していた。

 アテンダントサービスとは、サービス利用者の障がいがある学生に対して、その時間に講義のない健常者の学生がサービス提供者として移動介助や講義中のノートを代わりに代筆するノートテイクなどをしてくれるサービスだ。


 そして大学1年生の時、拓実の講義にアテンダントとしてつくことになったのが同級生の梶原かじはら智花だった。これが2人の出会いだった。

 そして智花とアテンダントなどで過ごす時間が増えていくにつれ、彼女のことが「好き」という感情が僕に芽生えていった。



 1年生が終わり「コロナ」という流行りやまいが流行。それにつれて大学の講義も「リモート講義」が多くなり、学部も違う智花と接する機会は全くと言っていいほどなくなっていった。

 しかし大学4年生になり、学内で久しぶりに彼女との再会をするのだった。


「拓実くん!久しぶり!」

「久しぶりだね!智花ちゃん元気?」

「元気だよ!」


 そんな世間話から始まった。彼女が僕のことをどう思っているかはわからないが、出会ってから3年以上が経った今も2人が仲のいい友達であることには変わりない。そしてアテンダントに付いてもらっている時に抱いた彼女が好きと言う気持ちも、あれから時が経とうが変わっていなかった。


「ねえねえ」

「なに?」

「拓実くんの近況報告とか聞きたいな~」

「電話とかしていい?」

「いいよ!」


 それからというもの、拓実は智花と電話する機会が毎週のように訪れるようになっていったのだった。そして僕はだんだん彼女の声を聴くことが楽しみになっていった。

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