第18話 私達だけを愛して

「戦争はまだ始まったばかりだけど.....凛子は頑張ってる」


その日の夜の事だ。

窓際に凛花が現れた。

そして俺に話し掛けてくる。

まあ確かにな.....戦争は始まったばかりだ。

どうにかしないとな。


「だからこそ凛子を応援したい」


「.....そうだな。それは同意見だ。.....やっぱりお前は良いお姉ちゃんだな」


「そうかな。.....それだったら良いな」


「ああ。自覚して無いだけでお前は最高だよ」


「有難う。優樹菜。何だか恥ずかしいよ」


凛花は赤面する。

俺はそう言ってから顎に手を撫でる。

そして考えた。


この先をどうするか.....だな。

とにかくどうするか。

どう凛子と凛花を守っていくか.....考えなくては。

そう思いながら凛花を見る。


「.....な、何?見つめられると恥ずかしいんだけど」


「.....ああ.....そういやお前は俺が好きなんだっけ」


「ば!?今それを言うの!?」


「ははは。お前が言ったんじゃないか。川の流れの様なスッとした感じで受け止めてって」


「まあそうだけど今それを出す必要無いよね!?」


「はっはっは」


もー揶揄うのも大概にして、と言ってくる凛花。

それから俺を頬を膨らませて見てくる。

俺はその姿を見ながら苦笑した。

やっぱり可愛いなコイツ、と思いながら。


「凛花」


「.....何?」


「お前達が幼馴染で良かった」


「もう!?恥ずかしいんだけど!」


「俺の本音だよ」


ガーッと赤面で怒る凛花を見ながら俺は揶揄う。

すると凛花が、あ。そう言えば、と切り出してくる。

そして、新しいエロゲ予約したんだ。一緒にしない?、と言ってくる。

外に響くから大声で話すな。

俺は顔を引き攣らせながら.....凛花を見る。


「何と言うか幼馴染系だよ!すっごい.....エロい.....」


「分かった。一旦落ち着け。ここは外に聞こえる。エロゲ言うな」


「えへへ.....ふへへ.....可愛い女の子.....」


「.....」


もうコイツ駄目だわ。

戻って来れない。

俺は思いながらも.....その愛らしい姿に、なあ。凛花、と聞いてみる。

すると凛花は、何?、と聞いてくる。

俺は尋ねた。


「お前はキスしたことあるのか?」


と.....すると。

凛花は真っ赤になりながら、ある訳ないでしょ!?、と大声で言い捨てる。

だよな.....良かった。

何かキスとかしていたら嫌な気分だ。

凛花が、だ。


「しょ、処女だけど.....悪い?!」


「お前な.....外だっつってんだろ.....」


「純潔よ!!!!!」


「お前もう黙れ!?」


慌てんな!目を丸くするな!回すな!

俺は赤くなりながらバカ○ンの様になっている凛花を止める。

全くコイツは!

俺は盛大に溜息を吐いた。

そして、凛花。良かった、と告げる。


「.....な、何がよ」


「.....お前が純潔でな。.....何か俺以外の男にイチャイチャしていたら嫉妬する。.....凛子もそうだけど」


「何!?それって.....し、しまいどん.....」


「お前もう帰れ」


姉妹丼言うな!!!!!

エロいんだよいちいちな!!!!!

帰れ!!!!!


俺は思いながら凛花を見る。

すると凛花は、まあそれは.....その。冗談だけど、と言ってくる。

そして俯きがちに目がなって聞いてくる。


「.....私を好きなの.....?」


「.....いや。そういうつもりで言ったんじゃない.....けど」


「でも今の言い方は.....」


「.....そうだな。.....確かにその通りだ」


何で俺もこう言ったのか分からない、と説明する。

すると凛花は、良かった、と言った。

笑顔で。

俺は?を浮かべて凛花を見る。

凛花は、私は.....まだ貴方の眼中にあるんだ、と言いながら。


「.....そして凛子も。.....ねえ」


「.....な、何だ」


「他の女の子に目移りしないでね。.....私達だけを愛してね」


「.....!」


「.....私達はゆっくりで良いから答えを待っている」


「.....お前.....」


全くコイツは.....。

俺は赤面しながら凛花を見る。

凛花も流石に恥ずかしくなったのか。

じゃ、じゃあおやすみ!、と言って去った。

この野郎、と思ったが。


「.....眼中にあって良かった、か」


俺はまた思い出しながら赤くなる。

困ったもんだよな俺の幼馴染は。

可愛すぎて困る。

俺はそう思いながら高鳴る胸を押さえつつ。

勉強をし始めた。


「.....凛花と凛子。.....どっちかを選ぶにしても.....俺は」


そんな事を呟きながら俺はシャーペンを強く握る。

そして天井を見上げてから首を振った。

どうしようもないこの世界だけど。

それでもこういう希望があるから頑張れるんだな俺は。

そう考えながら。



そして翌日から凛子は学校を休む事になった。

俺達は学校に向かう。

そうして教室に向かうと。

クラスメイトに囲まれてしまう。

大丈夫か、と。


「あ、ああ。大丈夫だ」


「そうだね.....」


そんなインタビューアーになった気分になっていると。

奥から有原が顔を見せた。

そして見てくる。

俺は、有原、と声を掛けた。


「有難うな。昨日は」


「.....気にすんな。上手く誤魔化せたぞ。全部」


「そうか。お前には毎回世話になってんな.....俺」


「まあこの分はボーリング代金でも奢ってくれ」


「そんなもんで良いのか?」


「ああ」


それから有原は相変わらずの顔をする。

俺達は苦笑しながら見る。

そして.....ホームルームを終えて授業が始まる。


今日という日が過ぎるがそれでも回ってない奴も居る。

その事を考えつつ外を見る。

そして眉を顰めた。

何故.....凛子なのか.....。

そう考えながら。

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