第2巻(ずーっと赤ちゃんの時から)
ずーっと赤ちゃんの時から、さよりんといっしょのあやめっち。
いつも家に遊びに来てくれてる。あやめっちに会いに来てくれる。
だからほんとのお姉ちゃんみたい。
いつでもあやめっちのことギュッと優しく抱きしめてくれてる。
あやめっちの前で、さよりんは、いつも歌ったり踊ったりしてくれる。
あやめっちは、そんなさよりんのことをず~っと見ているの、めっちゃ好き。
あやめっちもさよりんの真似をして、いっしょに歌ったり踊ったりする。
ロボットの女の子ポップちゃんも、そんなふたりのこと、いつも優しく見守ってくれてる。
さよりんは、あやめっちの家に泊まって、いつもあやめっちのそばにいてくれてる。
夜も、さよりんの子守唄を聞きながら、あやめっちは毎日、安心しきって眠りについてる。
朝、起きて、いつも最初に見るのは、さよりんの顔。
さよりんは、いつも
「わーっ!あやめっち起きたんやねーっ!」
って言っている。
それから
「はいっ!ミルク」
って渡してくれる。そして
「幼稚園に行ってくるわーっ!」
って言って、さよりんは毎日、幼稚園に行ってる。
そして、お昼過ぎには
「ただいまーっ!あやめっちーっ!」
って言って帰ってくる。
✩
もう少ししたら、あやめっちも幼稚園に行ける。
「やっと、あやめっちも幼稚園だーっ!やったあああ!あやめっちといっしょに幼稚園に行けるわ~」
って、さよりんはめっちゃ喜んでる。
でも、そのかわり、さよりんは小学生になっちゃう。だから
「うーわっ!あやめっちといっしょに幼稚園に行けないやんかーっ。いっしょに行きたいんだよーうっ」
って、さよりんは言っていた。
あやめっちといっしょに幼稚園に行きたかったみたい。
「あやめっち、小学生になったら、その時は、さよりんといっしょに小学校に通えるからねーっ」
ってママはさよりんに言ってた。
「はやく小学生になってよーっ!あやめっちーっ!」
「まだ3年かかるよっ!さよりんは4年生だねっ」
✩
キンモク星の地下迷路に、あやめっちは、さよりんと遊びに行く。地下迷路には可愛い怪獣さん、ひそんでる。
キンモク星には一角獣さんたちも暮らしてる。一角獣の可愛い女の子ユッコちゃんとは、お友達。さよりん、ユッコちゃん、あやめっちの3人で、よく地下ダンジョンに遊びに行ってるよ。ユッコちゃんはアイドルになりたがってる。歌声可愛いしダンスもめっちゃ上手。
✩
でも幼稚園に入る時になって、あやめっちは、ママとパパのお仕事の関係で、キンモク星からパリに引っ越すことになった。さよりんにも、引っ越しの話をした。
さよりんは、あやめっちのことギュッと抱きしめて離さない。
「あやめっち~!キンモク星にもまた遊びに来てね~!ぜったいやで~!」
「さよりんもパリに来てね~!」
「うんっ!行く~!」
なんか、ポタポタ、頭の上に、落ちてきてた。
さよりんの涙だった。
ママは、そんなさよりんに
「キンモク星とパリは近いんやから!いつでも、また会えるんやからね!」
って言っている。
さよりんは、あやめっちのことをギュッと抱きしめて、なかやか離れようとしない。しばらく2人で、ずっとギュッと抱き合っていた。
「あやめっち、キンモク川の散歩に行こう~」
さよりんに言われて、2人で手をつないで、キンモク川のほとりをブラブラ歩いていた。
さよりんは、あやめっちのほっぺにチュッてしてくれた。
「あやめっち、パリに行っても、さよりんのこと忘れんといてね~!忘れたらあかんで~」
「うんっ!さよりんのことは、ずっと忘れないよ~」
って、さよりんに言ったら、また
「うわ~ん、あやめっち~」
って言って、さよりんは泣き出した。
またあやめっちのことをギュッと抱きしめてくれた。
それから手をつないで、いっしょに歩いた。
しばらく、いっしょにキンモク川沿いを歩いてて、ちょっと行ったら、さよりんはあやめっちのことをギュッと優しく抱きしめて、それから、ほっぺにチュッてする。そして、また手をつないで歩きだす。
何日間か、ずっと、そんな感じで、さよりんと過ごしていた。
さよりんは毎日、家に来て、そしてあやめっちのことをギュッと優しく抱きしめてくれている。
✩
パリへ行く日のこと、さよりんには話さなかった。
さよりんに話さずに、その日の朝に、空港へと向かった。
「なんでなん?」
ってママに聞いたら
「さよりんに言うと、あやめっちのこと、1日中、ギューッと抱きしめて、ぜったいに離さないやろから!」
でも、さよりんに言わないで、パリに行っちゃうのも、なんか、めっちゃさびしい。
「あやめっちの2倍以上は、さよりん、さびしいんだよ、きっと...」
ってママに言われた。
「さよりんの、あやめっちのこと好きな気持ちは、あやめっちの、さよりんを好きな気持ちよりも、たぶん、ずーっと、はるかに2倍以上は大きいからねー」
あやめっちもそんな気した...
でも、あやめっちだって、さよりんのこと大好き。
だけど、たぶん、さよりんは、もっとあやめっちのことを好きなのかもなあ。
うわーっ!やっぱり、さよりんといっしょに空港まで行きたかったかもしれないーっ!
さよりんといっしょに空港に行くべきやったのかもしれへんーっ!
さよりん、お昼頃に、家に来たかもっ!
うわーっ!
どうしようーっ!
さよりん、だれもいない家に来ちゃうかもーっ!
キンモク星から飛行機に乗ってパリに着いた。
✩
パリの幼稚園に入ったら、マーリアちゃんっていう、可愛いフランス人の女の子と仲良しになった。
ある時、マーリアちゃんに
「あやめっちのうしろに、いつも女の子いるよ~」
って言われた。
「えっ?女の子?」
マーリアちゃんは、ボクのうしろのほうをしばらく、じっと見つめていて、それから
「さよりんって、その女の子、言ってるよ」
「えーっ!さよりんーっ!」
「知ってる女の子なの?」
「キンモク星にいた時に仲良しの女の子だよ~」
「さよりんって子は、あやめっちのことを、ほんとにめっちゃ好きみたい...」
「マーリアちゃん、なんで、そんなこと、わかるの~?」
「霊感強いから...」
「さよりん、何か言ってる?」
「あやめっちの3つくらい年上だから、お姉さんみたいな感じで、あやめっちのことをいつも見ているよ~。あやめっちをよろしくねって、わたしに言ってる...」
「うわ~!...じゃあ、さよりんに、『ありがとう』って言ってくれる~?」
「いいよっ!...てか、もう、さよりんにも、あやめっちの言葉、聞こえたみたい...さよりん、笑って、あやめっちのことを見ているよ」
「うわ~!そうなんや~!さよりん~!」
って、ボクはうしろを向いて手をふった。
マーリアちゃんは
「手をふったの、ちょっと違う方向だったけど、さよりんには、ちゃんと伝わってるみたいだよ」
って言ってくれた。
「マーリアちゃんも、ありがとう!凄い霊感だね~!さよりんのこと、わかるなんて...」
「あははは。あやめっちの役にたてたから、嬉しいよ。霊感強くて...」
マーリアちゃんも喜んでくれてるみたいだ。
マーリアちゃんに
「さよりんに、引っ越しの日のこと言わなくて、ごめんねっ!って言ってくれる?」
ってお願いした。
「いいよーっ!...でも、もう、さよりんにも聞こえてるよっ」
「あっ!そっか!...さよりん、あの日、言わないで行っちゃって、ごめんねーっ!」
って、ボクは、自分の後ろにいる、さよりんに向かって言ってみた。
「さよりんは何て言ってる?」
「もう、いいよーっ!気にしないでーっ!って言ってる」
「うわーっ!ごめんねっ!」
「さよりんは、あやめっちと結婚するーっ!って言ってるよ」
「えーっ?ほんとー?ボクも、さよりんと結婚するーっ!」
「さよりん、めっちゃ嬉しそうにしてるよーっ!」
「ほんとー?」
「うんっ!めっちゃ喜んでいる...あっ!今、あやめっちのほっぺにチュッてしたよ!」
「あっ!そういえば、今、一瞬そんな感じしたっ!」
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