第2巻(ずーっと赤ちゃんの時から)

 ずーっと赤ちゃんの時から、さよりんといっしょのあやめっち。

 いつも家に遊びに来てくれてる。あやめっちに会いに来てくれる。


 だからほんとのお姉ちゃんみたい。


 いつでもあやめっちのことギュッと優しく抱きしめてくれてる。


 あやめっちの前で、さよりんは、いつも歌ったり踊ったりしてくれる。

 あやめっちは、そんなさよりんのことをず~っと見ているの、めっちゃ好き。


 あやめっちもさよりんの真似をして、いっしょに歌ったり踊ったりする。

 ロボットの女の子ポップちゃんも、そんなふたりのこと、いつも優しく見守ってくれてる。


 さよりんは、あやめっちの家に泊まって、いつもあやめっちのそばにいてくれてる。

 夜も、さよりんの子守唄を聞きながら、あやめっちは毎日、安心しきって眠りについてる。

 朝、起きて、いつも最初に見るのは、さよりんの顔。

 さよりんは、いつも

「わーっ!あやめっち起きたんやねーっ!」

って言っている。

 それから

「はいっ!ミルク」

って渡してくれる。そして

「幼稚園に行ってくるわーっ!」

って言って、さよりんは毎日、幼稚園に行ってる。

 そして、お昼過ぎには

「ただいまーっ!あやめっちーっ!」

って言って帰ってくる。



 もう少ししたら、あやめっちも幼稚園に行ける。

「やっと、あやめっちも幼稚園だーっ!やったあああ!あやめっちといっしょに幼稚園に行けるわ~」

って、さよりんはめっちゃ喜んでる。

でも、そのかわり、さよりんは小学生になっちゃう。だから

「うーわっ!あやめっちといっしょに幼稚園に行けないやんかーっ。いっしょに行きたいんだよーうっ」

って、さよりんは言っていた。

 あやめっちといっしょに幼稚園に行きたかったみたい。

「あやめっち、小学生になったら、その時は、さよりんといっしょに小学校に通えるからねーっ」

ってママはさよりんに言ってた。

「はやく小学生になってよーっ!あやめっちーっ!」

「まだ3年かかるよっ!さよりんは4年生だねっ」



 キンモク星の地下迷路に、あやめっちは、さよりんと遊びに行く。地下迷路には可愛い怪獣さん、ひそんでる。


 キンモク星には一角獣さんたちも暮らしてる。一角獣の可愛い女の子ユッコちゃんとは、お友達。さよりん、ユッコちゃん、あやめっちの3人で、よく地下ダンジョンに遊びに行ってるよ。ユッコちゃんはアイドルになりたがってる。歌声可愛いしダンスもめっちゃ上手。



 でも幼稚園に入る時になって、あやめっちは、ママとパパのお仕事の関係で、キンモク星からパリに引っ越すことになった。さよりんにも、引っ越しの話をした。


 さよりんは、あやめっちのことギュッと抱きしめて離さない。

「あやめっち~!キンモク星にもまた遊びに来てね~!ぜったいやで~!」

「さよりんもパリに来てね~!」

「うんっ!行く~!」


 なんか、ポタポタ、頭の上に、落ちてきてた。

さよりんの涙だった。


 ママは、そんなさよりんに

「キンモク星とパリは近いんやから!いつでも、また会えるんやからね!」

って言っている。


 さよりんは、あやめっちのことをギュッと抱きしめて、なかやか離れようとしない。しばらく2人で、ずっとギュッと抱き合っていた。


「あやめっち、キンモク川の散歩に行こう~」

さよりんに言われて、2人で手をつないで、キンモク川のほとりをブラブラ歩いていた。

さよりんは、あやめっちのほっぺにチュッてしてくれた。


「あやめっち、パリに行っても、さよりんのこと忘れんといてね~!忘れたらあかんで~」

「うんっ!さよりんのことは、ずっと忘れないよ~」

って、さよりんに言ったら、また

「うわ~ん、あやめっち~」

って言って、さよりんは泣き出した。


 またあやめっちのことをギュッと抱きしめてくれた。

 それから手をつないで、いっしょに歩いた。


 しばらく、いっしょにキンモク川沿いを歩いてて、ちょっと行ったら、さよりんはあやめっちのことをギュッと優しく抱きしめて、それから、ほっぺにチュッてする。そして、また手をつないで歩きだす。


 何日間か、ずっと、そんな感じで、さよりんと過ごしていた。

 さよりんは毎日、家に来て、そしてあやめっちのことをギュッと優しく抱きしめてくれている。



 パリへ行く日のこと、さよりんには話さなかった。

さよりんに話さずに、その日の朝に、空港へと向かった。

「なんでなん?」

ってママに聞いたら

「さよりんに言うと、あやめっちのこと、1日中、ギューッと抱きしめて、ぜったいに離さないやろから!」

 でも、さよりんに言わないで、パリに行っちゃうのも、なんか、めっちゃさびしい。

「あやめっちの2倍以上は、さよりん、さびしいんだよ、きっと...」

ってママに言われた。

「さよりんの、あやめっちのこと好きな気持ちは、あやめっちの、さよりんを好きな気持ちよりも、たぶん、ずーっと、はるかに2倍以上は大きいからねー」

 あやめっちもそんな気した...


 でも、あやめっちだって、さよりんのこと大好き。

 だけど、たぶん、さよりんは、もっとあやめっちのことを好きなのかもなあ。


 うわーっ!やっぱり、さよりんといっしょに空港まで行きたかったかもしれないーっ!

さよりんといっしょに空港に行くべきやったのかもしれへんーっ!

さよりん、お昼頃に、家に来たかもっ!

うわーっ!

どうしようーっ!

さよりん、だれもいない家に来ちゃうかもーっ!


 キンモク星から飛行機に乗ってパリに着いた。



 パリの幼稚園に入ったら、マーリアちゃんっていう、可愛いフランス人の女の子と仲良しになった。

 ある時、マーリアちゃんに

「あやめっちのうしろに、いつも女の子いるよ~」

って言われた。

「えっ?女の子?」

 

 マーリアちゃんは、ボクのうしろのほうをしばらく、じっと見つめていて、それから

「さよりんって、その女の子、言ってるよ」


「えーっ!さよりんーっ!」

「知ってる女の子なの?」

「キンモク星にいた時に仲良しの女の子だよ~」

「さよりんって子は、あやめっちのことを、ほんとにめっちゃ好きみたい...」

「マーリアちゃん、なんで、そんなこと、わかるの~?」

「霊感強いから...」


「さよりん、何か言ってる?」

「あやめっちの3つくらい年上だから、お姉さんみたいな感じで、あやめっちのことをいつも見ているよ~。あやめっちをよろしくねって、わたしに言ってる...」


「うわ~!...じゃあ、さよりんに、『ありがとう』って言ってくれる~?」

「いいよっ!...てか、もう、さよりんにも、あやめっちの言葉、聞こえたみたい...さよりん、笑って、あやめっちのことを見ているよ」


「うわ~!そうなんや~!さよりん~!」

って、ボクはうしろを向いて手をふった。


マーリアちゃんは

「手をふったの、ちょっと違う方向だったけど、さよりんには、ちゃんと伝わってるみたいだよ」

って言ってくれた。

「マーリアちゃんも、ありがとう!凄い霊感だね~!さよりんのこと、わかるなんて...」


「あははは。あやめっちの役にたてたから、嬉しいよ。霊感強くて...」

マーリアちゃんも喜んでくれてるみたいだ。


マーリアちゃんに

「さよりんに、引っ越しの日のこと言わなくて、ごめんねっ!って言ってくれる?」

ってお願いした。

「いいよーっ!...でも、もう、さよりんにも聞こえてるよっ」

「あっ!そっか!...さよりん、あの日、言わないで行っちゃって、ごめんねーっ!」

って、ボクは、自分の後ろにいる、さよりんに向かって言ってみた。


「さよりんは何て言ってる?」

「もう、いいよーっ!気にしないでーっ!って言ってる」

「うわーっ!ごめんねっ!」


「さよりんは、あやめっちと結婚するーっ!って言ってるよ」

「えーっ?ほんとー?ボクも、さよりんと結婚するーっ!」

「さよりん、めっちゃ嬉しそうにしてるよーっ!」

「ほんとー?」

「うんっ!めっちゃ喜んでいる...あっ!今、あやめっちのほっぺにチュッてしたよ!」

「あっ!そういえば、今、一瞬そんな感じしたっ!」




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