応援コメント

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  • 終 不透明なる今後への応援コメント

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    ◆ ユキナから、自主企画参加のお礼
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    阿月礼さん、自主企画に参加してくださって、ほんまにありがとうございます。
    ウチ、『もう1つの東西冷戦―KGB少佐・ヨシエ=クツーゾネフ編』を、21話(終)まで読ませてもろたよ。

    この作品な、読みはじめてすぐに、ただ設定が珍しいから目を引く、っていうだけの話やないって分かるんよ。
    ひとりの女の人が、新しい国で生きなおそうとする。そのはずやのに、その生きなおしが、また別の大きな仕組みの中に絡め取られていく……。そんな、自由と息苦しさが一緒に流れてる感じが、最初から最後までずっと残る作品やった。

    ここからは、太宰先生にお渡しするね。
    今回は告白の温度やから、作品の良さにちゃんと触れながら、あと一歩でもっと深く届きそうなところまで、まっすぐ見つめて語ってもらうで。

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    ◆ 太宰先生による講評――告白の温度で
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    おれは、この作品を読みながら、ずいぶん胸のあたりが静かに痛んだんです。
    派手に打ちのめされる痛みじゃない。もっと鈍くて、長く残る痛みです。人がようやく自分の足で立てる場所を見つけたと思ったら、その場所もまた別の鎖につながっている。そういう、人生のやりきれなさに似たものが、この作品には流れているように思えました。

    倉本芳江――ヨシエ=クツーゾネフという人は、ただ時代に振り回されるだけの存在ではありませんね。
    おれはそこが、まず好きでした。彼女は傷つけられてきた。抑え込まれてきた。けれど、その受け身だけでは終わらない。新しい言葉を覚え、新しい環境に馴染み、与えられた役割を引き受けていく。その適応には、したたかさもあるし、哀しさもある。人間というのは、綺麗に反抗し続けられるものでも、綺麗に被害者でい続けられるものでもないのでしょう。生き延びようとするうちに、知らず知らず、自分を押しつぶしたものと似た力の中へ入っていく。おれには、その複雑さがとても正直に見えました。

    物語の展開も、この作品は大きく構えています。
    異国での暮らしに足場を作るところからはじまり、言語の習得や生活への定着を経て、やがてKGBという巨大な体制の内部へ入っていく。その流れは、単なる出世譚でも転落譚でもないんですね。上へ行くほど自由になるのではなく、むしろ別のかたちで縛られていくように見える。その苦みが、一歩ずつ積み重なっていく。終盤のハンガリー動乱に関わるくだりでは、その国家の論理と個人の運命のずれが、いよいよ隠しきれなくなって、物語に重たい影を落としていました。
    おれは、あの終盤の空気に、この作品の本気を感じました。

    ただ、告白の温度で言うなら、おれはこの作品に惹かれたぶんだけ、惜しさも覚えたんです。
    この作品には、明らかに考える力がある。何を描きたいのかが、曖昧ではない。個人と体制、自由と帰属、亡命と再編入――そうしたものを、きちんと自分の言葉で見つめようとしている。その誠実さは、ほんとうに立派だと思います。
    けれど、その誠実さゆえに、ときどき場面の熱より先に意味が整ってしまう瞬間があるんですね。人物が痛みを感じる、その震えが読者の胸に届く前に、「なぜそう痛むのか」が少し先回りして説明されてしまう。おれはそこに、作者の丁寧さと同時に、少しの遠慮を見ました。もっと感情が乱れてもいい。もっと沈黙に任せてもいい。もっと、うまく言えないままの顔を見せても、この作品は壊れないはずです。

    キャラクターについて言えば、やはり芳江が強い。
    彼女は被害者であり、生存者であり、ときに体制の担い手にもなる。そのどれか一つだけでは言い切れない。おれは、そういう人間の曖昧さが好きなのです。立派さや正しさではなく、揺れながらも生きてしまうことそのものが、ひどく人間らしいから。
    アナスタシアも印象に残りました。やわらかさの中に、冷たい制度の匂いが混じっている。親しみと圧力が同じ手つきで差し出されるような、あの危うさは、とてもよかったです。
    その一方で、脇の人物たちは、役目はよく分かるのだけれど、まだ少し息づかいが遠い気もしました。何に怯えているのか、何に執着しているのか、どんな癖で沈黙するのか。そういう小さな人間臭さがもう少し見えると、主人公の孤独も、もっと濃く響いてくるでしょう。

    文体には、この作品にふさわしい真面目さがありますね。
    軽く書かれていたら、この主題はたぶん薄くなっていたと思います。だから、この硬質さ自体は長所なんです。政治や制度の話を扱いながら、安っぽくならない。そこは信用できる書き方でした。
    でも、おれは少しだけわがままを言いたい。文章がいつも同じ姿勢で立っているように感じる場面があるんです。苦しいところでは、景色が歪んでもいい。言葉が少し乱れてもいい。息が詰まる場面なら、文章も少し詰まっていい。思想を語る文と、傷がにじむ文は、ほんの少し違う顔をしていていいはずです。その揺れが出てきたら、この作品はもっと深く、読者の皮膚に残ると思います。

    テーマの一貫性は、かなり強いですね。
    祖国とは何か。自由とは何か。女が生き延びることは、服従なのか、それとも抵抗の一種なのか。そうした問いが、看板みたいに掲げられているんじゃなくて、暮らしの底に沈んでいる。部屋を持つこと、言葉を覚えること、役割を与えられること、命令を受けること――そういう具体の中に、テーマが沈んでいる。おれはそこに、この作品の誠実さを感じました。
    だから、読後に残るのは、思想の説明ではなく、人生の苦味なんです。それはなかなか得がたいことだと思います。

    結末も、おれは好ましく思いました。
    安易に救わない。かといって、分かりやすく突き落とすわけでもない。未来は開けたとも閉じたとも言えないまま、不穏さと未決着を抱えたまま終わる。あれは逃げではなく、この作品が最後まで守った現実感なんでしょう。
    ただ、ここでもう半歩だけ、芳江の胸の底を覗かせてくれたら、とおれは思わずにいられませんでした。彼女は何を得たのか。何を失ったのか。何を諦めて、何をまだ諦めきれていないのか。その一点が、最後にもう少し強く刻まれていたら、読後の余韻はもっと個人的な痛みとして残っただろうと思います。

    けれど、おれはこの作品を、届かなかったとは言いません。
    むしろ、かなり届いている。
    届いているからこそ、もっと深く刺さる可能性まで見えてしまうんです。そこが、この作品の良さでしょう。設定の珍しさだけに頼っていない。人間の弱さを見ている。体制の中で、完全には汚れきれず、完全には潔白でもいられない、その曖昧な生を見ている。
    作者は、人を裁きすぎないですね。でも、甘やかしもしない。その距離感は、とても大事にしてほしいと思いました。

    阿月礼さんへ。
    この作品は、たしかに重いです。読む人を選ぶかもしれない。でも、その重さを恥じなくていいと思うんです。
    ただし、重さの見せ方は、まだもっと洗練できる。説明を一つ減らして、沈黙を一つ置く。意味を整える前に、場面の息づかいを前へ出す。人物の心を語る前に、その人の手や目や声の揺れを見せる。そういう工夫で、この作品の痛みは、もっと自然に読み手へ移っていくはずです。
    おれは、この物語にちゃんと芯があると思いました。だからこそ、次に進む余地も、はっきり見えるんです。その余地は欠点ではなく、作品がまだ深くなれる証拠だと、おれは思います。

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    ◆ ユキナから、終わりの挨拶
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    阿月礼さん、あらためて、参加してくださってありがとうございました。
    ウチ、この作品は、読み終わってすぐに感想が出尽くすタイプやなくて、あとからじわじわ効いてくる作品やと思いました。
    芳江の選択も、置かれた立場も、簡単に割り切られへんぶんだけ、読後に残るものがあるんよね。そこが、この作品の強さやと思う。

    太宰先生の講評は、魅力を大事に受け取りながら、その先にある伸びしろまで見つめる内容になってるで。
    せやから、もし作者さんにとって、次の改稿や次の創作へ向かうための手がかりになったなら、ウチもすごく嬉しいです。

    それと、最後に大事なお知らせを書いておくね。
    自主企画の参加履歴を『読む承諾』を得たエビデンスにしています。参加受付期間の途中で参加を取りやめた作品については、読む承諾の前提が変わるため、応援・評価・おすすめレビュー等を取り下げる場合がありますので、注意してくださいね。

    ユキナ with 太宰(GPT-5.4 Thinking/告白 ver.)
    ※ユキナおよび太宰先生は、自主企画のための仮想キャラクターです。

    作者からの返信

    今回も、色々とお言葉をいただき、有難うございました。励みになります。最近、体調不良もあり、新たな執筆等をしていませんが、今後とも宜しくお願いいたします。

  • 終 不透明なる今後への応援コメント

    企画にご参加ありがとうございました。

    作者からの返信

    私こそ、企画に参加させていただき、有難うございました。毎回、お読み頂いたことにも感謝いたします。今後とも宜しくお願いいたします。

  • 第2話 自身の世界への応援コメント

    企画にご参加ありがとうございます(再度)。

    作者からの返信

    二重の参加になり、失礼しました。又、再度、お読みいただきました事に感謝いたします。

  • 第1話 モスクワへの応援コメント

    企画にご参加ありがとうございます。

    作者からの返信

    お読みいただき、有難うございます。励みになります。今後とも宜しくお願いいたします。

  • 第1話 モスクワへの応援コメント

    自主企画へのご参加ありがとうございます。
    視点が安定していないのが気になりました。
    1-1では~ようであった、とありますが断定の箇所も多く、
    1-2からは芳江視点で~思った、が多く見受けられます。
    一部しか目を通していないので安定させない理由があるかもしれませんが、特段理由がなければ芳江視点で統一されることのご検討はいかがでしょうか。

    作者からの返信

    ご指摘、有難うございます。私もなかなか、上手に描けないところがあります。現在、「もう1つの東西冷戦」の続編を執筆しています。既に、半分程度、書いてしまいましたので、ご指摘に添えるか否か、分からないところですが、ご指摘をいただきましたこと、深謝いたします。今後とも宜しくお願い致します。

  • 第2話 自身の世界への応援コメント

    歴史背景の描写もそうですが、生活感の描写が良い味出してます。

    作者からの返信

    お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。連載は始まったばかりですので、お暇なときにでも、ご覧いただけますと幸いです。今後とも宜しくお願い致します。