エピローグ
「では諸君、我々怪異研が部活動と認められるための活動を今日も始めようではないか!」
といつものようにら宣言するのはキャプテンとみんなから呼ばれている俺の義姉の城戸ムギである。
「ふむ、今日は誰もサボりが出ていないみたいだね。僥倖。これは我が怪異研が部活動に承認される日が近いというものだ。では、各々の報告を聞こうか。司会はいつも通り参謀の三船 文くんに任せよう」
「あいあい」
文化祭が終わって生徒会選挙も終わって、俺は欠伸をしながら前に出る。
「えーっと、そこにいる九重キイロから部室をもらうという作戦は失敗しました」
「先輩にフラれたから意地悪してます」
キイロを含めた部員達からブーイングが出てくる。怒るなら私怨で意地悪しているキイロにしてほしい。
「まぁけど、共同で使う分には許可が降りたんで一応の部室問題は解決……。ということで、あとは顧問さえ見つけたらどうにかなると思う」
改めて、しょうもない部活だなと思う。
オカルトに興味があるのはキャプテンのムギだけで、あとはみんなやんわり友達がいるから程度の仲だ。
「まぁ、文化祭の件で結構教師からの覚えもよくなったから顧問もすぐ見つかるだろうから、部活の立ち上げは直に成功すると思う。今までみんなありがとう」
「いえーい、拍手ー!」
まばらな拍手の中、俺はいつもの席に戻ると隣にいるシロハが俺をげしげしと蹴る。
「交際、バレたんですけど」
「そりゃなあ、毎日登下校一緒で、近所のデートスポットによく二人で行ったらバレるだろ」
「う、うぐぐ……。イジメにはならなかったですけど、怨嗟の声がすごいです」
「シロハが一緒に登下校したいって言ったんだろ」
俺とシロハが言い合っていると、前に立っているキャプテンが俺たちを指差す。
「そこのカップル! イチャイチャしない! で、部活問題は解決したから、本格的にオカ研の活動をしようと思う! つまり、強化合宿だ!」
「オカ研の何を強化するのか」
「参謀の家で! デカいし、一人暮らしだし!」
「!?」
俺が驚いていると部員達は「いいじゃん」「楽しみー」と俺の意思を無視して決まっていく。
「キイロちゃんはどうする?」
「もちろんご一緒します。強化したいところなので」
何を……?
と、俺が突っ込むより前に話は盛り上がっていく。
……まぁ、いいか。
演じていたはずの役はいつからかすっかり板について、志ていた役目は単に自分のやりたいことになっていた。
成長というには曖昧でつまらない。
けれども……楽しいな、と、何の捻くれもなく思えた。
今年は笑って母さんの墓参りに行けそうだと思った。
天使の筆は恋を描けない。〜学校一かわいい美少女絵描きにヌードモデルを頼まれた件〜 ウサギ様 @bokukkozuki
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