愛おしき時代

Naoko

 プロローグ

いつのまにか、歳をとってしまった。

30歳までに40歳までに!

まだまだ先だと思っていた未来はあっとのまにきて

何一つ成し遂げられないまま歳だけとった。


夏!

手を振っているのは、幼なじみのゆな。

そしてその隣にいるのは、あゆみ。


高校を卒業してから何かといえば集まり

笑い。話した。


「もし、何かで会えない時はこの川で集まろう。」


今日は、花火大会だった。


川辺で花火をみたあとゆなが言った。


なんだかわからないけど

「そうしよう」

と私も笑った。


あゆみもうなずいていた。


夏の夜。


花火大会のあと

「綺麗だったねぇー。」

と空をを見上げた時、

何かが光った。


月が消えた。


星が回り出した。


ダンスをするように。


星が踊る星が回る無数に星が流れる。

「何、これ、、、」

「何を忘れても忘れないで。

もしも会えない時は8月10日13時にこの場所に!」

ゆなの声がうすれる、、、


数秒気を失った。


数秒だと思ったのだけど、、、


っというか、空を見上げていた。

はずだったのに、、、


気がつくと、実家のソファーだった。


しかも、私はダサダサのジャージを着ている。


えーっと、、、どっかでみたジャージだなぁー。


夏子、そんなとこで寝てたら風邪引くよ。

せめて何かけなさい。


なんだか懐かしい声。


「えぇー!!!お母さん???」


亡くなっているはずの母がいる。


「何ねぼけてんの?」


とタオルケットをかけてくれる。

はは、、、


えっ?えー?


っていうか、そういえば実家、、、売ったんだよね。


えー???

季節は夏。

のはず、、、

起き上がって、ぼんやり母親をみていたら

冷凍庫をあけてかざごそ。


懐かしくて愛おしくて切なくて

泣きたくなる。

 

母は、そんなことは知らずに

「かき氷食べる?」

と聞いてくる。


暑くもない。でも、季節は紛れもなく夏。


寒くても夏だからかき氷の母。

買ったばかりのかき氷器に嬉しそうに氷を

いれる母。


テーブルにはイチゴシロップ。


あらためて着ている服をみる。

このジャージ、、、


中学のだ、、、


このころの北海道は、、、涼しかった。


今年は半袖きれなかったねぇなんてざらだった。


昭和の夏に、、、戻っている。


愛犬のルリがいる。

「ルリ!」

と抱き締める。

ペロリと顔を舐められた時

「8月10日13時に!何があっても忘れないで!」


ゆなの声が頭の中に響く、、、


ゆな!


今日何日だろ?

スマホ、、、がない、、、


「お母さん!今日何日?」


「8月7日でしょ?そういえば七夕ね。」


8月7日、北海道の七夕の日。


氷の削る音の中電話がなる、、、


「電話出て」

えっーと、、、

「もしもし、し、清水ですが、、、」


「えーっと、、、野中です。」


「ゆな?」


どうやら私たちはタイムスリップをしたらしい。

2度目の中学校生活。


そんな、小説みたいなことってあるんだろうか?

ないと言われても現実にそうなっている。

、、、どうであれ、私の2度目の中学校生活が始まる。










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