大ヤンデレ日記
にしざわ
12月18日(目覚め)
12月18日(日)。天気は晴れ。
中途半端な時期だけど、日記を始めようと思った。一応理由はある。
といっても何を書くのが正解なのか、ちょっとわからないけれど。
朝起きると体がだるくて、熱を測ったら37.2度だった。
こういう微熱が一番厄介で、これからもっとひどくなるのか、起きてればそのうち治るのか、見極めなきゃいけない。
ただ観たいアニメがあったのでとりあえず起きて動くことにして、でもそしたら昼の前に頭痛がひどくなってきたから、お母さんが昼ごはんに作ってくれたミートソーススパゲティは食べずに寝た。
寝る前に熱を測ったら38.5度まで上がっていた。
そのまま寝たら夢を見て、夢の中で私は宗介くんと海辺で遊んでいた。
もちろん私は宗介くんと海辺で遊んだことはないし、そもそも宗介くんとまともに話したこともない。
普通に考えたらこれは私の願望ってことになるのかな。恥ずかしい。
けれどこの後ふたりの大事な思い出にもなりそうだから消さずに残しておこう。
砂浜からそのまま二人で手を繋いで海の中に入っていって、次の一歩は足がつかないってわかるくらい深くまで進んで、驚きと恐怖で心臓がどくんって跳ねた瞬間、私は汗だくで目が覚めて、熱を測ったら36.9度まで引いていた。
ただの風邪だったのかな?
とにかく、宗介くんが私の熱を冷ましてくれた。
頭痛もマシになったのでベッドから出て一階に降りる。誰もいなかった。
お父さんは海外出張でいないから今はお母さんと二人暮らし。そのお母さんもちょうど買い物に出ているらしく、テーブルの上にはラップのかかったミートソーススパゲティが置いてあったけどあまり食べる気はしない。
外から小学生の元気な声が聞こえる。私の家はこの住宅地で一番大きい公園が見える位置にあり、だから平日の夕方や休日は窓の外が賑やかになる。
レースカーテンを開けて外を見ると、小学1年生くらいの男の子と女の子が二人で公園の隅の原っぱにしゃがんでいた。
きっと四葉のクローバーを探しているのだ。
あの頃は私も性別関係なく遊んでいた。
いつの間に男の子を意識するようになってしまったんだろう。
公園の大きなイチョウの木越しに見える夕日を眺めながら、もう一度宗介くんのことを考えた。
宗介くんと並んで夕日を見たい。
誰かと一緒に夕日を見たいと思ったのは生まれて初めてだった。
だからこの日記を書こうと思った。
これは私の恋の記録である。
にしても好きな人が夢に出てくるなんて高校3年生じゃない。「りぼん」読んでる小学生みたいだ。
でも私の恋愛スキルは小学生並みではあるのだけど。
大ヤンデレ日記 にしざわ @nishizawa_ken
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。大ヤンデレ日記の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます