第6話 8/23

 朝から予約した病院へ行き、MRIを再び撮ってもらう。総合病院で患者が多いせいか、あっという間に時間が経って昼過ぎに呼ばれた。MRIの写真を持参して先生の話を聞く。頭部の断面図がバックライトのつく機械で映し出された。

 私の右脳と左脳が確認できる。大脳の右後方の丸々一部が、腫瘍と思われる白い塊で埋め尽くされていた。脳が圧迫されて少し変形している。予想外の大きさに、思わず息をのんだ。

「この写真は左右逆に映っているので、左側の後頭部辺りに腫瘍ができています。ただ、これは脳ではなく、聴神経にできています」

 眼鏡をかけた真面目そうな先生が説明する。

 ⁇ と言う事は脳腫瘍ではない……?

「はい。ただ、更に肥大すると聴覚を失ったり脳が圧迫されたりして運動機能等に支障が出てきます。手足に痺れが出たり、呂律ろれつが回らなくなったりしていませんか?」

 私は少し思案する。今まで不自由に感じた事はほとんどなかった。少しだけ片足の先がしびれる事はあった気がするが…

「……そうですか。これ程大きいと、通常は何か障害が出てくるんですがね。聞こえが悪くなった期間から考えると、おそらく悪性ではないので摘出てきしゅつしたら問題ないと思います。ただ……」

 先生は話を続ける。

「場所が小脳の近くなので少し難しい手術になります。頭蓋骨ずがいこつに穴を開けて除去しますが、ここではそれができる先生がいないので、J医院を紹介します。そこへ行って治療してください」


 先生はすぐに電話をかけ、翌日またその大学病院へ行く事になった。

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