シノメ
一瞬委員長が少しくらい顔をした。だがその意味も読み取れないまま
「そう、どんな?」
と聞かれ、少し考えた後、クレンはできるだけ事実を濁しつつ、ちょうどいいとおもって委員長に相談しようと思った。なにせこの委員長が人気なのはとても面倒見がいいからだ、クラスメイトの事をよく見ているし、人に興味があるのか性格や趣味などもある程度把握している。それに……カノンは最近何か不審な目で見てくるし、セイヤは改まって相談するのが恥ずかしい感じがする。
「いや、嘘をつかれたのは、肉親に関するものだよ、元気にしているならそういえばいいのに、あまりいい仕事をしているわけじゃないけど、でも生きていることだけでも知りたかった」
「……」
ふと沈黙が流れた。
「委員長?」
「ああ、ごめんなさい、なんでもないの……私も、嘘つかれるのって苦手だな、だってそれがいいものか悪い物かなんて、伝えてくれないと判断しようがないじゃない?」
そういわれて、なんだか納得した。クノハは、嘘をつく側にも理由があるとおおらかな態度だったが、自分はクノハのように大人ではないのだとおもった。
「委員長もぼーっとすることあるんだね」
「あ、あはは、そうなの、ごめんね、へへ」
委員長の二面性を見た気がした。普通に話せたのもそうだが、女子と話をしたという事に若干の自分の成長をみたクレンだった。
そんなクレンにも、帰宅すると重たい現実が待ち構えているのだった。帰宅すると、父は出かけているようで、居間の奥の一室に、男は例のごとく意識をうしなったまま寝ていた。障子をあけ、男を見下ろしつぶやく。
「……父さん」
「……」
「いないんだな……ほとんど知らない寝たきりの男と二人きり……こないだからどんな状況だよ」
のんびりとした学校生活と、委員長のほのかな甘い香りと正反対の男のむさい香り。文句のひとつもいいたくなるような状況だ。もとはといえばクレンに責任がないわけではないが、襲ってきたのはこの男のほうだ、心のどこかで許せない思いもある。だが、何もしないわけにもいかない。男は熱をだしているので、タオルをとりかえ、男の様子をみる。その時だった。
「水、水……」
男が当たりをさぐるようにてをばたつかせる。
「お、おきたのか!」
早速急いでキッチンにむかい、コップに水をいれてばたばたと走り戻ってくる。そして男の口元にコップの縁をちかづけると男は勢いよく飲みほした。
「う、ここ……は」
ぼんやりと目を開けてあたりを見渡す男。しかし次の瞬間。
「お前は……俺の、俺の悪霊は!!!」
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