野良犬。

 お祓いが終わった後、生善は家に帰って、学生3人だけでファミレスに入って、軽い食事をとった。普通の学校の話をしたりしたが、最後に犬の話題になった。

「ランちゃんは無事だけど、あの犬の引き取り手を探したいなあ」

「ん?そういやさっきもそんなこといってたな!どんだけお人よしだよ、カノン!」

 と、つっこむセイヤ。クレンは二人の会話を見つめる。

「どうせだから最後まで面倒みたいんだ、クレンちゃん、どうする?最後まで面倒みようよ、憎しみがあるけど、この子が悪いわけじゃない、何か縁があったのよ」

 カノンがわざわざレンちゃんじゃなくてクレンちゃんよびするときはかしこまったときだけだ、クレンは唐突にその時がきたので、のんでいたジュースを吹き戻しそうになった。

「え?俺?」

 なぜだか先ほどクノハに文句をいっていたセイヤまで、腕組をしてこちらを半目で睨め付けている。

「なぜおれに責任が……」

 カノンといえば、目を潤ませながら、上目遣いでこちらをしっかりみつめてくる。

「うっ」

 クレンは考えたが、カノンのお願いには弱い。カノンとの小さな力関係、子供時代のカノンに対するクレンの少しの後悔に由来するのだがそれはまた今度。

「わかったよ、しょうがないなあ」

「やったー!!ありがとう!!」

「くはー」

 両手をあげて柔らかい体をふよふよ揺らすカノンと、落ち込んで頭を抱えるセイヤ。

「お前そんなんじゃ将来嫁さんに尻にひかれまくりだぞ、カノンちゃんと結婚したらさらにだな」

「ほっとけ」

 その日はそこでわかれて、クレンは次の日からカノンとともに放課後、クラスメイトや学校の知り合いに引き取りてがいないか探すことにした。それだけにとどまらず、カノンの親戚や親の知り合いにまでカノンは汗をかきながら、手当たり次第あたっていった。クレンはほとんど何もせず手伝いだけだったが、それでもカノンは頼もしそうに、クレンに頼み事をしてニコニコしているのだった。

「よかった……もうカノンの泣き顔なんて見たくないしなあ」

 三日後からはセイヤも手伝うようになり、いくつか候補をみつけて、その次の週。あとは愛護所の職員とともに引き取りてに対して調査をする段階になった。


 一方その頃、生善は夜な夜な、神社の裏手の誰も入らない物置や蔵のある場所にいき、何やらごそごそと動いているようだった。蔵に入り、しばらくするとでてくる。そんなことを毎日のように続けていたがある日、その作業の最中に何者かの視線を感じた。



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