第15話、眩暈

今朝は寒い

私は外的刺激に体調が左右される

外の気温と湿度と音の洪水

車とバイクの爆音と人混みの声が増殖し更に私の脳を混乱させる

私の住んでいる土地は都会でなく

田舎なのに人工物に溢れている

わざとらしく構築はされているが

道路は整備が行き届かず狭い道である

昭和の昔はもっと酷かったが

それもその時代にはあっていたのだろう今日は父親と妹の墓参りに行ってきた

妹は若くして2人の子供を残してこの世を去っていった

姪の車で連れていってもらった

二人とも立派な若者に育った

昼食にレストランに入ったが

そこでも私の聴覚過敏が反応して

頭が痛くなった

私は全ての人達の会話が耳に入ってくる

なんてやっかいな病気であろうか、

唯一、自然音の雨垂れだけが心地よい


思推する自己が唯一本当であると

初期の哲学者は大きな発見をしたが

私は思推する自分が本当であるかどうかも分からず恰も白昼夢を見ていて

今もその連続体ではないかと疑う。

夢と現実を区別してくれるのは

唯一同居している他人であり

私には妻との会話で

嗚呼これが現実なのだと漸く納得できる

雨垂れの音が脳に響き

夏の晴天が私の肌をこれが現実だと教えてくれる

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