Extra 予知

 私には、どうしても分からない奇妙な体験というものがある。

 その1つが、今回紹介する物だ。


 昆虫は、天気を予知できるのではないか?

 そう思えて仕方のない出来事がある。

 これは私が幼い頃、虫取りに夢中になっていた頃の話である。


 例えば、雨が降る前になると飛んでいた蝶の姿が消える。

 先程まで普通に飛んでいて、虫取り網を持ってきたら全く居なくなっていてふいに天気が悪くなってくる。すぐに曇り出して、雨が降り出す。

 また、蟻の巣の移動を見た時も同様のことが起こった。単なる蟻の行列ではなく、卵を抱えた蟻も居て、明らかに巣を移動する様子であった。

 空は晴天。とても雨が降って来るとは思えない様子だった……が、その直後に曇りとなり激しい雨となった。

 単なる偶然――そう片付けることもできたが、私には蟻たちが豪雨に備えて避難したようにしか見えなかった。

 「蟻の行列を見たら雨」ということわざがあることも後で知った。


 もっとも、ことわざはあるものの、それを本格的に天気予報に組み込んだシステムは聞いたことがない。気象衛星や各地の気象観測所のデータがあれば不要ということかもしれないが、今もどこかで研究されていると思いたいものである。


 昆虫たちは、我々以上にこの地球のことを知っているのかもしれない――。


※このExtraは「【公式自主企画】怖そうで怖くない少し怖いカクヨム百物語」に応募するために追加しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不思議かもしれない話 異端者 @itansya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ