第6話 金縛り
私には、どうしても分からない奇妙な体験というものがある。
その1つが、今回紹介する物だ。
体の不調に悩まされるようになった後。中学生になった私は無神経な両親に運動部に入れられていた。
その頃から、既に頭痛は酷く、日常生活にも支障をきたしていたが、医者に検査させて原因が分からないとなると、親はそれを無視した「日常」を強いるようになった。
テストでは好成績を収め、部活動には励め――いずれも体の不調により「欠けた」自分には両立は無理であった。
結果、私は勉強だけはそれなりの水準を維持することとした。
部活動では不真面目だと顧問になじられたが、そんなものに構っている程余裕が無かった。
その頃から、金縛りに悩まされるようになった。
金縛り――といっても、その間に幽霊を見たということはなく、単に体が指一本動かないのだ。大抵は横になっている時に起こるので、そのまま寝てしまうというのも手ではあった。
もっとも、何度か繰り返しているうちに「解き方」というのを覚えた。
金縛りを解くには、どこか「1か所」動かせればいい。
全身を一気に動かそうとしては駄目だ。
例えば指先のように、体のほんの一部分に神経を集中させ動かそうとする。
すると、その指先が動くようになった瞬間に金縛りは解ける。
原理は不明だが、解けるのは確かだ。
とはいえ、度々金縛りになった理由は未だに分からないし、それが高校生になる頃にはなくなった理由も分からない――要するに、あの金縛りがなんだったのか不明なままだ。
そして、高校生になっても頭痛は解消せず、いっそのこと退学できないかと悩むことになるが……それは謎とは無関係なのでこれ以上書かないでおく。
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