他の小説でたまに見られる「努力の描写が無さすぎて努力した感が薄い」などを感じず、かと言って修行の描写でテンポが悪くならない絶妙なバランスが素晴らしいです。
敵との戦いに関してもただ主人公が瞬殺して終わりではなく、葛藤や敵の対策により窮地に陥ったりといった展開が多く、飽きる事なく読み切れました。
主人公以外のキャラクターも、インフレに呑まれたり噛ませ犬になったりせず、格を保ったまま主人公に並ぼうとしていて、成長が実感できる作り込みで楽しく、最高の作品です。
カクヨムどころかネット小説全体を見てもでトップクラスのファンタジーと自信を持って言うことができます。
人類よく生きてるなと思えるような身の毛もよだつような悍ましい「魔」と現代日本風の世界で切った張ったをする作品
しかしこの作品はよくあるチート主人公つええええ悪役倒して解決!なんてシンプルな作品ではありません。
文章でここまで訴えかけてくるかというほどの悍ましい「魔」
読みながら感情移入するにつれて真に感じる「魔」に恐怖する人々の描写
やばい!誰か助けて!?っというところで颯爽と現れて解決する主人公
「魔」が倒されるのに合わせて感じる安堵感
「魔」に襲われ恐怖の悲鳴をあげる登場人物だけでなく、一読者でしかないはずの私が、いつのまにか共に恐怖し共に安堵しています。
「魔」が登場するのに合わせて緊張しだし、次第に恐怖を感じ、倒されると安堵し、読後に椅子の背もたれによりかかりながら「あー…」とか「はー…」とか言葉にならない声を上げさせるようなそんな作品です。
無刺激ストレスフリーを求めている方には向いていないかもしれませんが、刺激のある読書を求めている方へ大変オススメの作品となります。