第18話 役員・係決め②
気を抜いていたらいつの間にか学級委員のかたわらになっていた俺。
話し合いの司会進行なんて、最近はあまりしたことがない上、クラスの大半の生徒から向けられる鋭い視線。
そうこれだよこの全体の圧力ってやつを向けられるのが嫌だ。
「(ハア……)」
気が直ぐに憂鬱になった俺だったが、幸い、もう片方の更科が主に話し合いを進行してくれた。まじ感謝。
というか、気を遣ってくれたのだ。
「(桜庭くん、あまりクラスからその……好まれてないわよね……?それなら私が進めるけど……いいかな?)」
即OK待ったナシ。
どうやら更科は俺に視線を向けていた生徒たち以外の、無関心だった一部の生徒の一人のようだ。ありがたいね。
そんなこんなで議事は踊り……
「はーいこれで全ての役職が決まりました。皆さん、前半の期末考査が終わるまではこの役職でクラスを動かしていきます。よろしくお願いします」
「「「お願いしまーす/おねしゃーす」」」
良かった立ってるだけで終わった。楽だわ"アレ"と違って。
「はい、桜庭くん」
「?」
席に戻ろうとすると、更科から何かプリントを渡された。なんだろ。
「これ、今決めた役職の欄が空白なんだけど…」
役職に就いた人の名前を書く用紙だった。
「うん。書いて」
「あ、俺の名前か」
「いや全部だよ?」
「?」
「書記の人は黒板の板書で忙しいから、特に立ってただけだった桜庭くんがやってね?」
「いや板書ってこっちに書けばいいでしょ」
「い、い、か、ら」
「ハイハイ」
渋々ペン書きでそれぞれの名前を書いていくおれ。
「……驚いた」
「何が?」
更科のつぶやきに反応しながらペンの動きは止めない。
「いや、クラスメイトの名前、覚えてないか知らないかと思ってたから、何も見ずに書いてるの見ると、意外だな〜って」
「いや一応覚えてるだけだし、普通だろ?」
「そんなことないよ?割とみんな、下の名前か苗字しか知らなかったりすること多いよー」
それはうーん。どうなんだろ。俺としては若干失礼かと思って覚えてはいたんだけど。
「あ」
陽菜だ。……あいつ、生物飼育かよ。クラスの生物部のやつが持ってきた亀の世話である。なんか、餌やりをいつか忘れそうな匂いがプンプンするような……。
後で一応声かけとくか。
「何かと思ったら彼女さんかー。可愛いよね、春川さん」
「まあ、顔は整ってる方だよな」
「うわ面食いかよ最低」
「なわけあるか」
「冗談冗談。あんなラブラブな登校見せられてそんな事思うわけないじゃん。でも、少しその答え方は彼女さん的には少し気に入らないんじゃないかな〜」
自分がひねくれてるのは自他共に認めてる事実だからなー。こればっかりはどうしようも。
「陽菜の前ではちゃんとしてる」
「名前呼びしてるんだ」
「い、恋人だからな」
つい、一応、と答えそうになってしまった。注意されたばかりというのに。本気で直す気は無いけども、少しだけ気をつけなければ。
それからしばらく、更科の弄りは続くのだった。
ちなみに、遥輝は書記でした。
俺が用紙書いてるの絶対アイツの企みだろ。
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