第17話 役員・係決め①
25話まであたりは少し投稿を、続けようかな、と。
よろしくお願いいたします。
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「じゃあ拓人さん、また夕方に」
お兄ちゃん大好きモードから学校モードに切り替えた美久と別れ、俺も高校に向かう。
春川とはこの後おちあうことになっている。
これに関係して、勝手に俺の方で決めている事だが、必要以上に人前でいかにも「甘々カップル」みたいなことはしないようにする、例えば手を繋ぐのは一日中ではなく、その3分の1から2分の1の頻度、お互いの学校生活の時間は、できるだけ干渉しない、などである。
カップルでも、そう何度も自分の友人との恋人とはまた違ったプライベートな時間を邪魔されるのは少々堪えるだろうから。
もっとも、偽装関係みたいな関係な上に、お互いの気持ちは交わりも一方的に向かいもしていないのだから、余計な懸念ともいえるが。
でも、春川とは一応、できるだけ学校に通う日は一緒に登校することを決めている。
よって俺はこうして春川との待ち合わせ場所に向かっているわけだ。
「よっ、拓人!」
遥輝が後ろから肩を軽く叩きながら挨拶をしてきた。
「遥輝、おはよう」
「おう、おはようさん」
「(拓人〜っ!)」
「今日も元気だな」
「俺の取り柄だからな!」
「発電会社にでも言って地域の皆様に貢献しろ」
「扱いが酷い!」
「(拓人〜っ!!)」
そろそろこいつのいじりネタに底が見えてきた……早急な手を打たねば。
「……そういえばさ、どんなかんじ?」
「なにがだ」
「とぼけんなよー」
まあ、春川のことだろう
「まあまあ」
「ふーん、今のところは当初の予定通り?」
「まあな」
「それはそれは……って噂をすれば、だ。じゃあ拓人、また後でな!」
そう言ってバッグを片手に担ぎあげ、先へ進んで行った遥輝。
遥輝の去り際の言葉の意味を理解するより早く、横からにゅっと手がでてきた。
指の一つ一つが男子のそれとは違って細く、滑らかな肌で、おおよそ部活かなんかで傷がついたりしたことの無いような、真っ白な手だった。
それは当然、男子高校生のものでは無い訳で。
「おはよう、拓人っ」
「……おはよう」
春川も朝からテンション高いな
「さっき私が居たの気づかなかったでしょ?」
「……いつ?」
「発電会社がどうこうって」
「思っきし最初からいたじゃないか」
「そーだよ!ってか、遥輝くんと会ったところがほぼ待ち合わせ場所の近くだったでしょ!私遠くから声掛けたよ!」
そう言われれば……なんか聞こえた気もする。
「それは普通にすまなかった。でも、そんな大声出していいのか?」
「?」
あ、いや、そういや別に春川はこの関係に不満や企みがある訳では無かった。俺が勝手に利用(?)しようとしてただけだった。
「なんでもない。それより、名前、呼び捨てだったか?」
「……拓人って、変なところでちゃんとしてるけど、変なところで鈍いよね。デートの時から一応『拓人』って呼び捨てだったよ」
そうだったか。俺は心の中でいつも『春川』と苗字で読んでたからどっちだか分からなくなった。
まあ、じゃあ、俺も一応、できるだけ名前の方で呼ぶか。片方だけ名前呼びなのも変だし、それで春か、陽菜が、変な噂で嫌な思いするかもしれないからな。
といっても、下手したらそれよりも酷い思いを、陽菜にさせるかもしれないのが俺だけどな。
「じゃあ、行こうか、陽菜」
といって、軽く陽菜の手を握ると、彼女はビクッとしたようで、
「?」
「な、なんでもない」
と、顔を少しそむけながら、こちらも軽く手を握ってきた。一応、恋人繋ぎではないが、これなら怪しまれないだろう。
あ、そういえば、恋人関係になった俗人達は、噂によると相手を褒めるとかなんとか、って聞いた覚えがあるぞ。
それなら簡単だよな。
要するに、俺が美久にいつも言っていることをすればいいんだろ?
「陽菜」
「っ、な、なに?」
「今日も可愛いよ。その髪にかかってるウェーブっていうの?、綺麗で長い茶髪の陽菜に凄い似合ってる」
おえっ。なんか気持ち悪っ。
美久と違うベクトルで喋ってるみたいだ。ホストでもあるまいし、ほかの女子には基本一度もなかった行動だから余計違和感で身体に悪寒が駆け巡る。
と、俺の足が止まる。なぜなら、横で歩いていた陽菜の足が止まったからだ。見れば、何故かしゃがみこんでいて、ブツブツ何か言っている。
「(ほんとに無自覚なのかわかんないさっきもいきなり名前言われたし別にデートの時も何回か呼ばれたけど不意打ちだから恥ずかしさが勝った……)」
何を言っているんだ?
「おーい、行くぞー」
「は、はい!」
どこかギクシャクした歩き方と雰囲気の陽菜を連れ、校門まで来た。となれば当然周りの目が集まるわけで、
「(今日も手繋いでる、思ったよりラブラブ?)」
といった少々懐疑的なつぶやきも聞こえてくる。まあ、最初よりもだいぶ悪い反応は減ったみたいだ。男子を中心に嫉妬の念が飛んでくるけど。
「おい拓人、春川さんのこと名前呼びしてたってほんとか?」
「ああ。"陽菜"によるとデートの時も一応俺はあちらのこと名前呼びしてたらしい」
「お、おうそうか。てかなんで聞いたふうなんだよ」
「聞いたからだ」
お前こそどこから情報仕入れた?あの時近くにはあまり生徒はいなかった気もするが……
「それはそれはお熱いこって」
「うるせ」
「そこ、静かにしろー」
いつの間にかSHRが始まっていたようだ。担任が今週の予定を、軽く話し始めた。俺は基本どーでもいいので、窓の外を眺めていると、
「じゃあ、これからクラスの役員決めを行う」
という声が聞こえた。
「おい拓人、お前何の係に立候補する?」
「俺は余り物でいいよ。遥輝こそ、何にするんだよ」
「俺は静ちゃんと同じ図書委員かな。あの後色々関わる機会あったけど、凄い健気でいい子だったよ。途中から純粋に話し始めたも、弾んで、余り俺に興味ってかカーストやら変な憧れもない感じで話してたから、余計楽しかったよ。変な気使わなくてよかったし。それに、俺も図書の係決め少し興味あるかもだし」
めっちゃ喋るやん。そいで、静さんにも聞こえてたみたいで斜め前方向からチラチラ遥輝の方を見ている。
声でかいんだよ、お前。
「そうなのか?」
「遥輝も何回かしてたし」
「俺の事好きすぎだろ」
「まあね」
「否定しろ」
というか、お前そんなにガツガツいって引かれないのか?イケメンの特権てか?羨ましいわ。
そんな感じで、余り物は、何かなと展開を見守っていた結果……
「じゃあ、学級の常任委員は更科と桜庭で、決定な」
つまるところ、学級委員長/副委員長に、なった。
「よろしく」
「あ、ああ、よろしく」
もう一人の更科舞という、女子がこちらに歩いてきて、握手を求めてきたので、俺は少しとまどいながらも手を差し出し、握手を交わした。
「じゃあ、常任委員の二人に進行任せるわ」
といって、タバコをズボンのポケットから出して、どこへともなく教室を出ていった担任。
この学校は敷地内全面禁煙だぞ。
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主人公は恋愛初心者というか、知識がないです。手加減ができません。また、ヒロインの陽菜さんも、チョロインです。流されやすいですし。
まあ、主人公は色々と歪な人間性が、今のところの彼なので。
面白かったら評価・レビューお願いいたします(>人<;)
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