第3話 教室でのひと時
「やばいやばい遅刻〜」
「そんなバカなこと言ってる暇じゃないでしょ!!」
「だって咲夜が駄々こねて起きないから」
「何で私の部屋に上がり込んでるのよ!!」
「咲夜のお母さんが入れてくれたぞ?」
「母さんめ!!」
赤石咲夜と青葉星香は、学校へ急いでいた。
その理由は、赤石の寝坊が原因だった。
「ほら急がないと遅れちゃうぞー」
「むぅ!!」
2人は、ちょうどやって来たバスに乗り込む。
「バスほど、通学に向いてないものはないよな」
「その心は?」
「その日の交通状況に左右されるから」
「はっ!?」
「今日ってなんかこの辺でイベントあるらしいじゃん」
「何であんたはこう間が悪いの!?」
「それ咲夜が言う?」
彼女らが乗ったバスは見事に渋滞に引っかかっていた。
「さて、言い訳でも考えますか」
「っ…。分かったわよ。私が考えれば良いんでしょ」
「あれ?そんなことを言ったつもりないのに。いやぁ、気が利きますなぁ」
「本当性格悪い」
「お互い様だろ」
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「それで何で遅れたのかしら?」
「近所でイベントがあっているのをすっかり忘れてて、渋滞に巻き込まれ遅刻しました」
「青葉さんも?」
「そうでーす」
「はぁ、分かったわ。とりあえず座りなさい」
「「はーい」」
2人は、無事朝のホームルームには間に合わず、1時間目の授業の途中にたどり着いた。
「はいじゃあ、再開するよ。2人は、教科書20ページを開けなさい」
「「はい」」
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「いやぁ、見事に注意されたな」
「そうね」
授業が終わり、2人は先ほどの神崎の言葉を思い出す。
「こればっかりは私達が悪いしね」
「達?」
「私が!悪かったしね」
「その通り、主語を大切にしようぜ」
「無性に腹が立つわね」
「いや、今回ばかりは咲夜が100悪いからな」
「分かってるわよ」
「というか次の授業なんだっけ?」
「物理」
「あースラッシャーね」
「どんな異名をつけてるのよ」
「だってあの人、ラミネート加工してある座席表で寝てるやつ叩き起こしてるじゃん。頭に当てて横にスライドさせたりして」
「まあそうだけど」
「その姿を見て誰かがそう名付けてたぞ」
「誰がつけたのよ…」
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「すぅ…すぅ…」
「むにゃむにゃ…」
今は物理の授業中なのだが、赤石と青葉の寝息が教室中に聞こえる。
「まさか俺の授業で寝てるやついないよな?」
先生が幸せそうに寝ている2人を睨む。
「仕方ないなぁ。」
寝ている2人の席の近くに歩み寄る。
「ザシュ、ザシュ。」
「「いてっ」」
先生は、ラミネートを施した座席表を頭に当てスライドさせる。
「おはよ。」
「「おはようございます…」」
休み時間、馬鹿にしてた2人がその餌食になった。
「じゃあ2人、今日は音読担当ね。46ページを赤石、47ページを青葉が読め。」
「「はーい」」
その後は寝ぼけ眼を擦りながら、授業を受けた。
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放課後。
2人は夕焼けが差し込む教室にいた。
「掃除終わったー。」
「そうねー。」
「他のみんなも帰ったし、何しよっか。」
「帰る以外にすることあるの?」
「ゲーセンでも行く?」
「別に良いけど、飽きないわね。」
「あー、もしかして2人きりになりたい?」
「なに馬鹿なこと言ってるのよ。」
「放課後の誰もいない部屋でイチャイチャする?」
「本当に何を言って…」
赤石はその言葉の続きを発せなかった。
赤石の口を塞ぐかのように青葉がキスをしていた。
「ちょっ…」
赤石が一度引き剥がすも青葉は舌を絡め、糸を引くようなキスを続ける。
「ぷはっ…。やっぱ咲夜とのキス好きだわ。」
「星香っていつも強引なんだから…」
「そっちの方が好きだろ?」
「…そうよ。」
「ひゃぁ可愛い!!流石は私の嫁!!」
「ちょっ、抱きつかないでよ。」
青葉は赤石に抱きつく。
「それでどうする?何する?」
「…キスしたい。」
「よく言えました。」
赤石のお願いを聞くかのように青葉はもう一度唇を重ねる。
時には軽く唇が触れるだけのもの、時には舌を絡め合わせ蕩けるようなものも。
頭が麻痺するような濃厚なキスを西陽を浴びながら続けた。
紫色の日々 MiYu @MiYu517
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