結局その後、警察が来るまで、僕は呆然とそこに突っ立っていた。何でも警察の方々は、僕を「石廊崎の自殺を止めようとした同級生」だと思ったらしく、色々と事情聴取を受けた後、解放された。


 石廊崎の自殺は、すぐさま学科に知れ渡った。しかし誰一人として、彼女の自殺の原因を特定することはできなかった。ただ多くの陰謀論が飛び交い、口々に皆は、「闇が深い」と言って、その話をするようになった。

 

 そして同時に、僕が「闇が深い」と言われることは、なくなったのだった。


 大学3年生になった今でも、僕、羽豆春彦は生きている。


 その陰鬱な性格こそ健在ではあるものの、ただ必要以上に自責する癖は、和らいだように思う。


 ――あの時。


 ――あの屋上で。


 石廊崎が闇を持って行ってくれた――と解釈するのは。


 いささか都合が良すぎるだろうか。




《Shrouded in mystery》 is the END.

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闇が深い 小狸 @segen_gen

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