ここより永遠に ー白い翼の記憶と運命―

藤井光

プロローグ

「――これで最後だ。どうか、お前だけでも生き伸びてくれ。」


 若い男性の声が優しく響き、直後、魔法の音が響く。


 白い翼が数度はためき、闇の中、一人の青年が今起こったことを確かめるように左右を見渡す。


「アーサー?」

背中の翼が小さく震える。


「アーサー!アーサー!」

 返事はない。

 青年の声は大きくなるが、それにこたえたのは先の男性の声ではなく、新たな魔法の発射音だった。


 青年は背を向け、黒に染まった空を駆ける。


 しかし、無慈悲な光弾は彼の翼ごとその背を貫き、やがて白い羽毛を散らせながら、一つの影が闇の中へと落ちていった。


アーサー、すまない――


一つの願いと、謝辞だけを残して――

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