第132話 ネムレリアとパルパネオスと【ヤリチン上限値解放】


「責任などはとらずともよい。これが妾なりの愛の証明だ。どうだ? 身体を張っているだろう?」


「俺の、負けだな」


 ネムレリアは堂々と、パジャマの胸元をあける。

 ロココと同じ容姿なのに、豊かに育った肢体が覗いていた。


 ネムレリアの覚悟とはこれほどだったのか?

 もう我慢もできない。


「ようやくわかったか。ならば妾に屈しろ」


「負けてやっただけだよ。屈するのは好きじゃない」


「ぐぬぬ。何故余裕綽々なんだ」


「あんたの想像を凌駕してみせるつもりだからな」


「貴殿らしい返答だが、その若さでは初めてだろう。よもや経験があるわけでは?」


「まぁ、途中までならな」


 真菜とはホテルに言ったことがあるし(未遂だが)、クォ・ヴァディスの内部でもいい感じになっていた。



「この……。種付け男が!」

「いきなりひどい言い草だが、姫様。あんたも、もしかして……」



「姫とは貞操が硬いものだ。悪いか?」

 


 ネムレリアもまた初めてのようだった。

 

「いや。初めて同士なら、ちょうどいいってもんだろ」

「ん……」


 ネムレリアの瞼が閉じた。


 夢斗も瞼を閉じる。

 後は口づけをすれば、合図となる。


 すべてが始まってしまうのだ。


(ごめん、真菜……。ロココ……)


 ふとロココの発言を思い出す。


 ロココが受肉する際、姿を異世界検索しネムレリアを真似たのは、夢斗の好みに合わせたためだ。


 ロココ本人がどうしようもなくだらしないので、恋への発展などなかったが、ネムレリアは夢斗のドストライクの容貌だった。


(すまない、みんな。俺は卒業するよ)


 そのとき、寝室のドアが烈しくノックされた!


「夢斗! 夢斗! いるか! 開けるがいい!」


 パルパネオスの声だった。


 ドアには鍵がかけられているはずだが、蹴りでぶち破られる。


 パルパの顔は真っ赤だった。


「夢斗よ。今から8時間以内に軍議があるぞ! 準備をするのだ! また夜眠って起きると朝ご飯があるから、我と共に備えておけ!」


 顔が真っ赤でかつ支離滅裂なパルパだった。

 当然ネムレリアは激昂する。


「無礼な! 貴様! パルパネオス! 妾の蜜月を邪魔するなど! さては盗み聞きをしていたな!」


「死刑にするかネムレリア!」


「万死に値する!」


「やれるならやってみろ。我は機巧世界侯爵だ! ここで我を処刑すれば異世界同士の国交がままならぬぞ! 何より妾は夢斗以上に貴殿の軍を掌握しているのだ!」


「ぐ、ぬぬ……」


「我は機巧世界出身のIQ53万の頭脳で元帥となり、エルフ軍のシステムを近代化し勝利を手にしたのだからな!」


「ぐぬぬぬぬぬ、ぬぬぬぬ!」


 パルパのいうことは馬鹿っぽく聞こえるが、彼女の元帥としての手腕は本物だった。


 ネムレリアとパルパネオスは姫と元帥として互いに依存し合う関係にある。


 姫であろうと、パルパを殺すことはできないのだ。

 

「そういうわけで夢斗は借り受けるぞ」

「お?!」


 夢斗はパルパネオスにお姫様だっこされてしまった。なんて怪力だ。


「妾の夢斗を帰せ!」


「駄目なものは駄目なのだ! こいつは十二の異世界の希望だ。独占は許さぬ!」


「だから種だけでもいいと!」


「あー! あー! 聞こえぬわ! 戦場が我らを呼んでいる! ではさらばだ!」



 パルパネオスは無茶苦茶だった。

 背後でネムレリアが叫ぶ。


「殺してやる。いまはできずとも、いつか殺してやるぞパルパネオス!」


 さすがの夢斗も、パルパの無茶はいけないと思った。


「待ってくれ。パルパ。これじゃネムレリアが可愛そうだ」


 夢斗をお姫様抱っこしながらパルパネオスは王宮内部を走る。


「我のことはどうでもいいのか?! 元帥となるまで仕事をしたのに、仕事戦場ばっかりで何も……」

「パルパ……」


 夢斗は一度流された身だ。

 真菜をさしおいて、ネムレリアに応えようとした。


 今目の前にいる人に応えようと、委ねてしまった。

 だがパルパもまた夢斗のことを想っていたのだとしたら……。


「降ろしてくれ。パルパ」


 パルパの部屋の前で夢斗は、降ろされる。


 パルパは背を向けて、鼻をすすっていた。


「ぐす……。我も自分がよくわからないのだ。どうして姫の寝室のドアを破壊する暴挙をしたのか」


「聞いてくれパルパ。俺にいい考えがある」


 そのとき夢斗の中で新たな上限値解放が開いていった。



【すけこまし上限値が解放しました】

【ハーレム適性上限値が解放しました】

【ヤリチンの素質が解放されようとしています】


 またいらない上限値が解放していく。

 普段は謙虚なはずの夢斗だが、どんどんと調子に乗ってしまった。


 暴走中の上限値解放によって夢斗の欲望も解放。


 性格も徐々に変わったのか、口がすべってしまう。



「ネムレリアもパルパも。皆抱きたい。もちろん帰ったら真菜やロココも抱く」


 静寂。


(まて。なんで俺はこんなことを?!)


 上限値解放が性格にまで影響を与えてきていた。


 そうとはしらず、パルパネオスが拳を握る。


「ふ。はは。お主は……」


「ち、違う。違うんだ! パルパ!」


「我の純情をもてあそんだのだな?」


 パルパネオスは殺気とともに、無数の拳をぶんぶんを振る。


「違うんだよおおぉお!」


 パルパネオスは涙とともに、ラッシュを繰り出した!


「パルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパル。パルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパル!!」






 目を開けると朝だった。

 パルパネオスのラッシュをうけて気絶していたのだ。


 ネムレリアの寝室の扉は破壊されている。


(夢じゃ、なかったんだな)


 寝室では、ふたりの乙女が優雅に朝食をとっていた。


 パルパネオスとネムレリアだ。


「ご機嫌麗しいか、姫様」

「調子はいいよ元帥。おや? 女の敵がきたようだ」


 仲良くなってくれたようで何よりだ。

 だがふたりは笑顔のようでいて、目が笑っていない。


「姫様。彼奴は人間椅子にしましょう」

「いえ。からあげにしましょう。元帥殿」


「からあげですと? すさまじい」

「釜茹での刑というものがあるならば、人を唐揚げにする刑もあるだろう」



 からあげになるのは勘弁だったので夢斗は四つん這いになり椅子になった。


 パルパとネムレリアが同時に座ってくる。


 お尻の感触が気持ちよかったが、女を怒らせると怖い。


「なあ、お前ら。椅子になったからいいだろ? それに目的は帰ることなんだ。未遂なんだから許してくれよ」



「妾は貴殿などいなくても問題ない! 帰れ帰れ!」

「我も同感だ。とっとと科学世界に帰るがいい!」



 椅子の刑が終わると、パルパネオスとネムレリアに両腕を掴まれた。


 女の子ふたりに引っ張り合いをされてしまう。



「言ってることとやってることが違うよ?!」


 パルパとネムレリアが同時に目を光らせた。


「お主など」

「貴殿など……」


「「千切れればいいのだ!」」


(まあいいか。両腕を引っ張られた程度じゃびくともしないからなあ。真菜とロココに挟まれてるようなもんだ)


 女心で失敗したが、これでどうにか帰る目処は立った。


 あとは最後の戦場を攻略するだけだ。



――――――――――――――――――――――――――――

スペース

序盤男祭りだったはずが、


攻略キャラが、真菜、ロココ、PP(?)、パルパネオス、ネムレリア、もみ教授(?)になっててビビってます笑




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