スピノザのハレム
南雲ぜんいち
【序】始まり。
「000」
電気が巡り心を溶かし、今日も静かに眠る。
これが夢なのか現実なのか分かりはしない。
世の中には精神的に
その研究は日の目を見る様子もなく、研究資金も有限。自身の生活すら切り詰め、データ収集を行う毎日。
苦虫を嚙み潰したような表情で
しかし、そんな倉本に天啓が舞い降りる。
それは神頼み、藁にも
そんな彼に出会った倉本は、"未知"の多くを教わった。
それは行き詰まった理論を嘲笑うような導き。暗闇にさす一筋の光明。そして倉本は更に長い長い時をかけ、ついに到達。
生物の行動を決定する司令塔。記憶・思考・感情・感覚・運動・生命維持にいたる全てを司る内臓器官。その真髄を、倉本は真の意味で理解した。
世紀の発見・稀代の大発明。
しかし倉本はその研究結果を学会で発表することなく、一つの結論を導く。
「この"知"を、平和のために使おう」
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