アイスココアと失恋

五布団 睡

3つのココア


ジリジリと暑さが体を蝕む。


「あつい」

数分前に女友達の千晶からいつもの喫茶店に来いと呼び出された俺は今歩いている。



俺の家からは歩いて20分くらいだ。


カランカランと扉を開けると冷房の涼しい風が体にくる。

店内と行く千晶が俺に気が付き手を振る。

近くに行くと千晶の隣には親友の渚が座っていた。


「ごめんね、悠人急に呼び出して」

顔の前に手を出し、申し訳ないように謝る千晶。


「別に、話ってなんだよ」


「まぁ、まぁ暑かっただろ先に飲み物頼もうぜ!」


今度は渚が口を開きタッチパネルを手に取った。


「悠人何頼む」

「ココア、つめたいの」

「私もアイスココアがいい」


3人ともアイスココアを頼み

店員がココアを持って来てくれるのを待つ。


「なぁ、大事な話があるんだろ」

なんか嫌な予感がするがモヤモヤした気持ちを押し殺し俺は2人を真っ直ぐ見て言う。


「あのね、悠人私たち…実は付き合うことになって…」

千晶がそうゆうと隣の渚の顔を見て恥ずかしそうに微笑む。


「あ、ぁそうかおめでう」

びっくりして言葉が出なかったがお祝いの言葉を紡ぐ。

最近千晶と渚がよく一緒にいたり、出かけたりしているのは知ってる。

クラスの奴らも付き合ってるとか話してたんもんな、

言われて気づいたが俺は千晶が好きだったみたいだ。

(くそ、やっぱりな…)

気づきたくないこの気持ちが溢れだそうとしていた。

泣きたいがここは2人を祝おう。

内心は悔しかった。

渚が千晶の事を好きと打ち明けてくれた時びっくりしたが俺は渚の恋を応援しようと思った。

まさか結ばれるとは嬉しい事だかやっぱり悔しい。

「どっちから告白したんだよ」

顔は笑顔を張りつけ、俺は2人に聞く。


「渚から告白してくれたの!えっーと確か文化祭の片付けの時にね」


「そうか、良かったな渚」

渚を見て、手を出すと渚も手を出し、ハイタッチする。


「え、悠人知ってたの」

「あぁ、渚から相談されてたんだよ」

「いやー、告白した時どうなるかと思ってぜ」

2人は笑う

それに合わせて俺も笑ったが胸がチクチクしてきた。


(早くこの場から離れたい)胸の中は黒いモヤが漂う。


「お待たせしましたアイスココアになります」

三つのココアがきた。

喉を麗そう俺はココアを飲んだが、いつも飲むココアだが今日なんだか苦く感じた。



俺の恋は伝えず終わったのだ。

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アイスココアと失恋 五布団 睡 @fubosann21

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