第7話 なぜ、怒っているの?(目黒音夜視点)
「ケーキのお店? なんでそんなこと聞くの?」
友梨の視線が冷たく感じるのは、俺の気のせいだろうか?
「え・・・・・・あぁ、買い物ついでに寄ろうと思ってて」
「誰と?」
「誰って、そりゃあ久美子だけど・・・・・次回更新は12月9日を予定しています。
作品を見ていただき、ご興味を持って頂けましたら、応援/☆評価などをよろしくお願いいたします!・」
先ほどまでと比べて明らかに表情が曇っていると思うのだが、こんなにも女性とは変化がめまぐるしいものだっただろうか?
俺が高校生の時に関わってきた女子と、友梨との違いが大きいように思えて戸惑ってしまう。
女子高生の素というのは、誰もがこんなものなのだろうか?
「友梨、なんか怒ってる?」
不安になり、思わず聞いてしまった。
「は? なんで怒るの? 今の会話で怒る要素無くない?」
・・・・・・え、では怒ってないと?
じゃあ、なんでそんな不機嫌そうなの?
「別に兄貴が誰とどこで、何をして、どんなケーキを食べて、その人と仲良くして、その後も一緒にどこに出かけようが、そんなのは兄貴の自由じゃん。なんなら、そのままモール近くの美術館にでも行って、一緒に絵画鑑賞でもしてくればいいじゃん」
「いや、別にそこまでの予定は考えてないけど」
「なんだよ、買い物してケーキ食べてって・・・・・・それって完全にデートじゃん」
すごく小さな声で、友梨はつぶやいていた。
「ごめん、あまりよく聞こえなくて」
「別に兄貴には言ってないから!」
えー、なんで?
友梨が高校生になってからは、よりこんな感じで上手く会話が出来ないと感じることが増えてきたように思う。
「・・・・・・それで、女の子が喜びそうな、気品があって、オシャレなカフェのアフタヌーンティー的なセットだっけ?」
なんか、ハードルが跳ね上がってないか?
そんなこと、言いました?
「そうだなぁ、あんまりそういう店に行かないから詳しくないけど、千住屋フルーツとかでいいじゃないの? ものすごく高いけど」
「いや、もっとコーヒーショップとか手軽な感じでいいんだけど」
そこは高級フルーツ店の経営のお店で、確かケーキ一つで2000円は超えていたと思うのだが・・・・・・。
「じゃあ、スターボックスでいいんじゃない?」
今度はめちゃくちゃ定番処になった。
俺も、最終手段はまぁそこでいいかと思っていたけどさぁ。
あんまり詳しくなくて、他に良さげなお店がないかなと思い、友梨に聞いてみたんだけど・・・・・・なんかこの感じだと、あんまり話を広げても無理そうな気がしてきた。
これ以上聞いたら、より彼女の機嫌を損ねてしまうような気がしてならなかった。
「そうだな、とりあえずそこら辺で考えてみるよ。ありがとな」
「べつに気にしないで。あんま力になれなくてごめん・・・・・・私だったら、アロハデスクに一緒に行きたいけど、あそこは雰囲気よさげすぎて、勘違いされても困るしね」
また、語尾にものすごく小さな声で何かをつぶやいていたが、正直半分も聞き取ることが出来なかった。
「そういえば、いつ行くって聞いてなかったけど、行く日は決めてるの?」
「たぶん、次の土曜日かな」
「・・・・・・次の土曜日か」
「なんか買ってきて欲しい物でも思いついたか?」
考えているような素振りだったので、念のため確認する。
「いや、今それを考えてたわけじゃないから」
『は? 何言ってるのこの人』みたいな目で見られてしまった。
ほんと、なんなのだろう?
やっぱり友梨のことが、全然分からない。
ごめん、久美子。
この調子だと、多分俺は上手く聞き出せないで終わりそう気しかしない。
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