プロトタイプ世界の気高い生物

猫隼

Ch1・王子の帰還

資料01

[8・魂の価値はいくらか]


……彼はわたしに聞いた。「魂の価値はいくらなのか?」と……その子が機械生物なのは明らかだった。

……ある"スフィア"の者とわかった……気になっていたその子の情報も、しっかりそのスフィアにあった。そしてわたしは、あの日の問いの理由を知った。彼は奴隷牧場の子で、両親はどちらもよくある理由で(要は、自分とは何の関係もない自然生物を助けるために)死んでいた……その(彼にとってはそうだったろう)悲劇の後のことは想像するしかないが、彼の抱いた疑問からして、ほぼ間違いなく、死んだのが機械生物だったために大きな喜びを見せたものが多かったのだろう……


《創造された生物、創造されなかった生物(エッセイ4)》

author. ヨッド・ヘンルト・スプゲジャ


──


[1・生物分類の謎]


 誰かが最初に、生物を再現した機械を"生物"と考えた時、おそらく自然と機械という生物分類も生まれた……

……"ネイズグ"が底の世界である限り、どんな自然の生物も、機械の生物より、守るべき大切な存在だった……

……

……ねえ機械さん。同じじゃないよ。ぼくを再現した機械が決してぼくではないように、あなたを再現した機械は決してあなたじゃない。あなたがこの世界で何者であったとしても……


《知性哲学》

author. キナト・ゼッカ・ノエ


──


[序・彼の哲学、私の哲学]


 わたしはきっと、わたしの故郷を、友達を守りかった。こんな底の世界で、 それが造られたもので、調整されるもので、量産されるもので、この世界のどんな哲学においても意味のないことだとしても。わたしたちの哲学においてはみんな生きていると、彼が教えてくれたから


[1・ふたりきりだった時]


 太陽船の襲撃は事前に何度もシミュレーションしてて、だけど実際、いざその時になると、やっぱり現実とシュミレーションは違うものでした……

 後から思うと、きっととても楽しかった。わたしたち、ふたりだけで……


《わたくしたちの大切な冒険の記録》 

author.ネリーシャミオン-オージュ

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